食洗機の庫内はクエン酸で洗う。ネットで探すと、そんな手入れのコツがいくつも見つかる。ところがパナソニックは、卓上食洗機NP-TSP1のタンクや庫内の手入れについて、台所用液体洗剤、クエン酸、重曹は故障の原因になるので使わないよう公式FAQで案内している。代わりに使うのは、食洗機専用の庫内クリーナーだ。
家電の手入れには、メーカーと機種ごとに正解がある。よく知られた家事ワザが、手元の機種の説明書と逆のことを言っている場合もある。食洗機、コードレス掃除機、調理器具の例を並べると、説明書を先に読むべき理由が見えてくる。
白いくもりへの答えは、メーカーで分かれる

食洗機で洗ったガラスのコップに、白い跡が残ることがある。原因の説明は2社で共通している。パナソニックはビルトイン食洗機のFAQで、水に含まれるカルシウムやミネラル成分が原因と考えられ、洗剤やすすぎ不足が原因ではないとしている。シロカもSS-MA251の説明書で、白い跡は水に含まれているミネラル分によるものだと書いている。
違うのは、落とし方だ。
| 場面 | パナソニック | シロカ SS-MA251 |
|---|---|---|
| ガラスの白い跡 | お酢やレモン汁を布に染み込ませて拭く(ビルトイン食洗機のFAQ) | ときどきクエン酸をつけて手洗いする |
| 庫内の手入れ | 別売の庫内クリーナー(N-P300など)を使う。NP-TSP1は約60gを溶かしてタンクに入れ、約60分つけ置きしてから排水する | 庫内洗浄コース(約1時間)で、食器洗い機専用洗剤4gを入れて運転する |
| 庫内に入れてはいけないもの | 台所用液体洗剤、クエン酸、重曹(卓上タンク式のFAQ) | 台所用洗剤、重曹 |
シロカの説明書はクエン酸を食器の手洗いに使うよう書いているが、庫内に入れる使い方は案内していない。パナソニックはビルトイン食洗機のFAQで、市販のクエン酸は製品ごとに成分や濃度が違い、量によっては庫内やヒーターにさびが出るおそれがあると理由を説明している。同じクエン酸でも、食器を手で拭くのと庫内に入れて運転するのとでは扱いが違う。
ガラスが白くなる原因は、水のミネラル分だけではない。パナソニックは、クリスタルグラスは食洗機で洗うと白くくもるため洗わないよう案内している。シロカは、表面に小さな傷のあるガラスを高温で洗うと、まれに白くくもると書いている。拭いても落ちないくもりは、ガラス側の変化を疑う。
海外の対処法は、そのまま持ち込めない

海外の記事を読むと、さらに別の答えが出てくる。米国のConsumer Reportsは、食器の白いくもりを主に硬水によるものとし、市販の食洗機用添加剤を試験して、いくつかの製品でくもりが取れたと報告している。水滴の跡を防ぐにはリンス剤が役立つとも書いている。
ただ、これは米国の食洗機と洗剤を前提にした話だ。パナソニックの卓上食洗機の説明書が勧めるのは、食洗機専用の洗剤と、別売の庫内クリーナーだけである。海外で効いた添加剤を、日本の卓上機に入れてよいとは限らない。入れる前に、説明書の「使える洗剤」の欄を見る。
充電は「使う直前」か「使い終わり」か

コードレス掃除機の電池でも、一般論とメーカーの指示が食い違う。ニュージーランドのConsumer NZは、満充電のまま置いておくと容量が落ちやすいので、使う直前に充電するよう勧めている。一方で日立はラクかるスティック PV-BL3Mの説明書で、使った時間にかかわらず、掃除が終わったら充電するよう書いている。
日立の説明書は、1か月以上使わないときは満充電にしてから電源を外して保管し、1年に1回は充電するようにも求めている。電池残量がない状態で保管すると、性能や寿命の低下につながるからだ。電池の制御や使われ方は機種ごとに違うので、一般論より、その機種を設計したメーカーの指示に合わせるのが確実だ。
PV-BL3Mの説明書は、日立純正の本機専用電池以外を使わないよう求め、交換用の電池の型式(PVB-1825B)まで載せている。電池が弱ったときに何を買えばよいかも、説明書に答えがある。
同じ素材でも、製品の表示で扱いが変わる

「鋳鉄のフライパンは食洗機に入れない」は、よく知られた手入れの常識だ。米国の鋳鉄メーカーLodgeも、通常の鋳鉄製品は手洗いするよう案内している。ところが同じLodgeの熱処理した鋳鉄製品は、食洗機に入れられるとされている。ただし食洗機で洗うと油のなじみが落ちるので、洗うたびに油を薄く塗るよう求めている。
素材の名前で一律に決めず、製品の手入れ表示を見る。家事ワザは素材や家電の種類で語られるが、説明書は型番ごとに書かれている。この差が、ワザどおりにして失敗する原因になる。
調理器具も家電も、手入れの表示は外箱や取扱説明書、本体の刻印にある。買ったときに外箱の表示をスマートフォンで撮っておくと、あとで「食洗機に入れてよかったか」を確かめられる。
手元の説明書を3分で見つける

紙の説明書をなくしていても、多くのメーカーは取扱説明書をPDFで公開している。次の順で探すと早い。
- 本体の銘板や底面のラベルで、正確な型番を確かめる。色を表す末尾の記号まで控えておく。
- メーカーのサイトのサポートページで、型番を入れて取扱説明書を探す。
- 見つかったPDFを、スマートフォンのファイルやメモに保存する。
- 「お手入れ」「使える洗剤」「故障かなと思ったら」のページを先に読む。
- 説明書にない疑問は、メーカーのFAQを型番で検索する。パナソニックのFAQは、機種名ごとに答えを分けている。
探す前に型番を控えるだけで、検索の手間はほとんどなくなる。

保存したPDFは、家族とも共有しておくと、誰が手入れをしても同じ手順で済む。
説明書と違う手入れで壊すと、保証を受けられないことがある。シロカは、本体に水やお湯をかけたり庫内に入れたりして修理が必要になった場合、保証期間内でも保証の対象外になると説明書に書いている。
定番ワザが悪いのではない

クエン酸で水あかを落とす、電池をこまめに充電する。どれも、ある家電やある条件では正しい。問題は、そのワザがどの機種を前提にしているかが書かれないまま広まることだ。
シロカのSS-MA251ではクエン酸を食器の手洗いに使い、パナソニックのNP-TSP1では庫内にクエン酸を入れない。同じ「食洗機の白い跡」でも、持っている機種で答えが変わる。手入れの前に、まず手元の説明書を1回開く。数分で済む手間だが、家電を長く使うためにはいちばん効く。






