居間に置いた見守りカメラは、家の中を外へ流すための機器でもある。アカウントのパスワードが漏れれば、留守中の部屋の様子も、カメラの向きを変える操作も、他人の手に渡る。カメラ選びと同じくらい、ログインの守り方を設定の初日に決めておきたい。SwitchBot 見守りカメラ Plus 3MPは、首振りで部屋を見渡せる室内用カメラで、使わないときはレンズを本体の内側へ伏せるプライバシーモードを備えている。
カードのリンク先では、300万画素、水平360°・垂直115°の首振り、2.4GHzのWi-Fi専用であることと、プライバシーモードでレンズが物理的に隠れる仕組みを確かめられる。映像はmicroSDカードに保存でき、クラウド保存は30日間の無料体験の後に有料プランを選ぶ形だ。
乗っ取られると何が起きるか

家庭用の見守りカメラは、カメラ本体に直接つなぐのではなく、メーカーのアカウントにログインしたスマホから映像を見る。このため、カメラを守る鍵は、ほとんどの場合アカウントのパスワードになる。ほかのサービスと同じパスワードを使い回していると、別のサービスから漏れたパスワードで、カメラのアカウントにも入られる危険がある。
乗っ取られたときに困るのは、映像を見られることだけではない。首振りカメラなら向きを変えられ、マイクとスピーカーがあれば声を出される。家族の生活の時間帯や、留守にしている曜日も、録画の履歴から読み取れる。
| 守るもの | 起きうること | 先にする対策 |
|---|---|---|
| ライブ映像 | 留守中や在宅中の部屋を見られる | 二段階認証、パスワードの使い回しをやめる |
| 録画の履歴 | 生活の時間帯が分かる | 共有する家族を絞る、不要な録画を消す |
| 首振り・音声 | 向きを変えられる、声を出される | 在宅時はプライバシーモード |
| カメラ本体 | 古いファームウェアの弱点を突かれる | アプリで更新を確かめる |
二段階認証を最初に入れる

SwitchBotアプリは、2024年8月に配信されたiOS版v9.0(Android版は同年9月)で二段階認証を追加した。ログインするときに、パスワードに加えてメールで届く確認コードの入力を求める仕組みだ。同じ更新では、家族をホームのメンバーに追加するときに「管理者」と「制限付きメンバー」を選べるようにもなった。
TP-LinkのTapoアプリにも2段階認証がある。公式FAQによると、アプリの「私」タブからアカウントアイコン、ログインセキュリティと進んで有効にする。有効にした後は、そのアカウントで初めてサインインする端末に、時間制限のある認証コードの入力を求める。
どちらのアプリも、確認コードはアカウントに登録したメールアドレスなどへ届く。そのメールのパスワードが弱いと、二段階認証の効き目が薄れる。カメラのアカウントに登録したメールにも、二段階認証を入れておく。
家族は一つのアカウントを共有しない

家族全員で一つのアカウントのIDとパスワードを使い回すと、誰かのスマホを紛失したとき、パスワードを変えるまで全員の使い方が止まる。別居や引っ越しで共有をやめたいときにも、全員のスマホからログアウトさせる手間が出る。
SwitchBotアプリなら、管理者のアカウントから家族をメンバーとして招き、カメラを見るだけの人は制限付きメンバーにしておく。共有をやめたい相手は、メンバーから外せば済む。設定を変える人を管理者だけにしておけば、知らないうちに録画の設定が変わることも減る。
一時的に家に入る人がいるなら、その時間帯だけプライバシーモードにする、カメラの向きを変えておく、あらかじめ撮影していることを伝えるといった配慮も要る。見守りカメラは家族のためのもので、来客を記録するためのものではないと決めておくと、置き場所の判断がしやすい。
プライバシーモードと置き場所

アカウントを守っても、カメラが常に部屋を映していれば、気持ちの上では落ち着かない。SwitchBot 見守りカメラ Plus 3MPのプライバシーモードは、レンズを本体の内側へ回して下に伏せ、物理的に隠す。家族が家にいる時間はこのモードにしておけば、映像が流れていないことを見た目で確かめられる。
置き場所も守り方の一部だ。寝室や脱衣所が映る向きを避け、玄関から居間へ入る動線や、ペットの居場所など、本当に見たい範囲だけを映す。窓の外や隣の家が画面に入る場合は、向きを変える。
比較の候補として挙げるTapo C220は、2K QHD(4MP、2560×1440)の首振りカメラだ。公式ページでは、通信を128ビットAESとSSL/TLSで暗号化すると説明し、最大512GBのmicroSDカードに録画できる。
画質と録画容量を重視するならTapo C220、レンズを物理的に隠せることと、SwitchBotのほかの機器とまとめて管理できることを重視するなら見守りカメラ Plus 3MP、と選び分けられる。どちらを選んでも、二段階認証と家族の共有方法は同じように設定できる。
JC-STARと英国の法律が求める最低限

英国では2024年4月29日から、家庭向けのネット接続製品に、セキュリティの最低限の要件が法律で求められている。英国政府の案内によると、パスワードは製品ごとに異なるか、ユーザーが決められるものにすること、脆弱性を報告する窓口を公開すること、セキュリティ更新を提供する最低期間と終了日を公開することの3点だ。
日本では、情報処理推進機構(IPA)が2025年3月25日からIoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」を運用している。最低限の脅威に対応する基準を満たした製品に★1(レベル1)のラベルを付け、二次元バーコードから製品の詳細やセキュリティ情報、問い合わせ先を確かめられるようにする仕組みだ。
IPAは、適合ラベルがあっても完全なセキュリティが確保されているわけではないと注意している。★1は、メーカーが基準に沿って自己評価した結果をもとにラベルを付ける自己適合宣言方式だ。2026年10月22日に確認した時点では、SwitchBot 見守りカメラ Plus 3MPとTapo C220の日本向け製品ページに、JC-STARの表示は見当たらなかった。
ラベルの有無にかかわらず、買う前と設置した日に確かめたいことは同じだ。
- 二段階認証がアプリにあるか。 あれば設置した日に有効にする。
- 家族を別アカウントで招けるか。 見るだけの権限を選べると共有を管理しやすい。
- ファームウェアの更新を確かめる方法。 アプリの設定画面で、更新の有無と自動更新の設定を見る。
- 更新の提供期間と問い合わせ先。 製品ページやサポートページに書かれているかを見ておく。
- 手放すときの初期化。 譲る・捨てる前にアプリから削除し、本体をリセットしてから渡す。
英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は家庭のスマート機器について、二段階認証があれば有効にすること、自動更新をオンにすること、家の外から見る必要がない機器なら遠隔アクセスを切ることを勧めている。留守中に見る必要のない、在宅時だけ使うカメラなら、外出先からの視聴を前提にしない使い方も選べる。
カメラを外に向けて玄関を記録したい場合や、月額なしで録画を残したい場合は、保存先で選ぶ家庭用防犯カメラの記事も参考になる。室内のカメラは、アカウントを守る設定を済ませてから、家族に「ここを映している」と伝えて使い始めたい。





