スマートプラグを譲るとき、本体をコンセントから抜いて渡すだけでは終わらない。アプリには前の持ち主のアカウントで登録されたまま残り、時刻で動く自動化や、家族に共有した操作権限も消えていないからだ。英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、機器を譲ったり処分したりする前に、工場出荷時の状態へ初期化するよう求めている。
初期化の操作そのものは数秒で済む機種が多い。手間がかかるのは、その前にアプリ側で何を外すかを決めることだ。手元にあるスマート家電の数だけ、この順番を繰り返すことになる。例として、電力計測付きのスマートプラグTapo P110Mでは、電源ボタンを5秒以上押し続けるだけで初期化できる。
家のスマート機器の一覧づくり

米国の連邦取引委員会(FTC)は、家を売るときの注意として、まず家の中のスマート機器をすべて一覧にするよう勧めている。照明の電球やセキュリティ機器のように目立たない機器も含め、取扱説明書も添えておくとよいという。
一覧には、機器の名前と置き場所に加えて、どのアプリで登録したかを書く。スマートプラグはメーカーのアプリ、照明はAlexaやGoogle Home、iPhoneのホームアプリにもつないでいる、といった具合に、1台が複数のアプリにまたがっていることがあるからだ。
| 一覧に書くこと | 例 | あとで使う場面 |
|---|---|---|
| 機器名と型番 | Tapo P110M(寝室のスタンドライト用) | 初期化の手順を調べる |
| 登録したアプリ | Tapoアプリ、Alexa、Google Home | アプリごとに削除する |
| 自動化・スケジュール | 毎晩23時にオフ | 削除し忘れの確認 |
| 共有している相手 | 家族のアカウント | 共有の解除 |
| 渡す相手・残すか | フリマで売る、次の入居者に残す | 初期化の要否 |
賃貸の退去で、照明や機器を部屋に残していく場合も同じ順番で整理する。残す機器を自分のアカウントにつないだままにすると、次の入居者が設定できないうえ、自分のスマートフォンから動かせる状態が続く。
自動化と共有の解除

機器をアプリから削除する前に、その機器を含む自動化やスケジュール、ほかの人との共有を確かめる。FTCは、家を売る人は管理者としての権限と個人情報を、すべての機器から外すよう求めている。前の持ち主のアカウントや情報が、次の持ち主に引き継がれないようにするためだ。
自動化を先に見ておくと、削除したあとに「玄関の照明が夜に点かなくなった」という困りごとも避けられる。譲る機器を使っていた自動化は、残る機器だけで動くように組み直すか、まとめて削除する。
Matter機器はどのアプリに残っている?

Matter対応の機器は、さらに一手間かかる。Matterを策定する業界団体CSAは、1台の機器を複数のスマートホームのプラットフォームへ同時につなげられることをMatterの特長に挙げている。Tapo P110MもMatterに対応しており、Tapoアプリのほか、Matter対応のアプリへ追加できる。
複数のアプリにつないでいる場合、どれか1つのアプリで削除しても、ほかのアプリの登録まで消えるとは限らない。一覧に書いたアプリを順に開き、譲る機器がまだ残っていないかを確かめてから、最後に本体を初期化する。
Matter機器を追加するときのQRコードやセットアップコードは、本体や外箱、取扱説明書に印刷されていることが多い。初期化したあと次の持ち主が登録し直すときに使うので、外箱や説明書は機器と一緒に渡す。
本体を初期化する

アプリの整理が終わったら、本体を初期化する。NCSCは、初期化でその機器から個人データも消えるはずだとし、手順は機種ごとに違うのでメーカーのサイトで確かめるよう案内している。
Tapo P110MのTP-Link公式FAQによる手順は、次のとおりだ。
- Tapo P110Mをコンセントに差したまま、電源ボタンを押し続ける。
- LEDがオレンジと緑に点滅するまで、5秒以上押し続ける。
- 点滅を確かめたら指を離す。
TP-Linkは、LEDの色が見えにくいときは手で光を覆って確かめるか、Tapoアプリで設定を始めてBluetoothで接続できるかを見るとよいとしている。このFAQは、Tapo P105、P110M、P300を対象にしている。

Tapo P110Mは日本向けの仕様で最大1500W・15A、Wi-Fiは2.4GHzのみの対応だ。初期化したあとは、次の持ち主が自分のTapoアプリで最初から設定し直す。
初期化の操作は機種ごとに違う。ボタンの押し方や秒数を別の機種の手順で済ませると、初期化されていないまま渡してしまうことがある。型番でメーカーの公式FAQや取扱説明書を確かめてから操作する。
中古で受け取ったときの初期化

中古で買ったり、知人から譲り受けたりした側にも、やることがある。FTCは、家の買い手に向けて、受け取った機器を初期化し、プライバシー設定とスマートフォンのアプリの権限を見直すよう勧めている。さらに、自分のアカウントを作って機器をできるだけ早く更新するよう求めている。セキュリティの更新が重要な場合があるからだ。
前の持ち主が初期化を済ませたと言っていても、受け取ったら自分でもう一度初期化してから登録すると確実だ。保証やサポートが譲渡後も受けられるかは、メーカーの規定で確かめておく。
手放す前の確認リスト

最後に、渡す直前に次の項目を確かめる。
| 確認すること | 済んだかの見分け方 |
|---|---|
| 機器を含む自動化・スケジュールを削除した | アプリの自動化一覧に、譲る機器の名前がない |
| 家族との共有を外した | 共有相手のアプリから機器が消えている |
| メーカーのアプリから削除した | 機器一覧に表示されない |
| Matterでつないだアプリからも削除した | 一覧に書いたアプリすべてで表示されない |
| 本体を初期化した | 公式の手順どおりのLED表示を確かめた |
| 外箱と取扱説明書を添えた | セットアップコードが読める状態で入っている |
アプリの削除と本体の初期化は、どちらか片方では足りない。両方を済ませておけば、次の持ち主はすぐに自分のアカウントで使い始められ、自分の側にも操作できる機器が残らない。




