同じ「耐熱プラスチック」の子ども用食器でも、パナソニックのNP-TSP1なら低温ソフトで洗え、シロカのSS-MA251では洗えないことがある。取扱説明書を読み比べると、低温コースで洗えるプラスチックの下限がNP-TSP1は耐熱60℃以上、SS-MA251は耐熱65℃以上と、5℃ずれているからだ。
食洗機で洗えないものは、熱に弱いもの、洗剤や湯で変色・さびるもの、水圧で飛ぶ軽いもの、割れてけがにつながるものの4つに分かれる。材質名を覚えるより、食器の裏の表示と、自分の食洗機のコース温度を照らし合わせるほうが確実だ。
洗えない理由は4つに分かれる

食洗機は高温の湯と食洗機専用洗剤を強い水流で吹き付けて洗い、そのまま乾燥まで運転する。湯の温度も洗剤も手洗いとは違うため、手洗いでは問題のなかった器が傷むことがある。パナソニックとシロカの説明書が挙げる「洗えないもの」は、次の4つの理由に整理できる。
| 理由 | 主な例(両社の説明書・公式案内から) | 起きること |
|---|---|---|
| 熱に弱い | 耐熱90℃未満・耐熱表示のないプラスチック食器 | 変形 |
| 洗剤や湯で変色・さびる | アルミ・銅の鍋や食器、銀製食器、金箔入り・上絵付けの食器、鉄のフライパン | 黒ずみ、くもり、はがれ、さび |
| 水圧で飛ぶ | プラスチックのスプーンやふた、発泡スチロール容器、ふきん、スポンジ、ほ乳瓶の乳首 | 変形・破損、ヒーター部への落下 |
| 割れてけがをする | 強化ガラス製の食器、傷やひびのある食器 | 破片の飛散 |
シロカ SS-MA251の説明書では、標準コースの最後の加熱すすぎが約75℃、ソフトコースが約60℃とされている。プラスチックが変形する理由はこの温度にある。食器側の耐熱温度や「食洗機対応」の表示を確かめ、表示のないプラスチックを手洗いに回すことが、仕分けの出発点になる。
食器の裏や外箱の「耐熱温度」と「食洗機対応」の表示は、買った直後に確かめておくと迷わない。耐熱表示のないプラスチック食器は、両社とも洗えないものとして扱っている。
プラスチックは耐熱表示の数字で決める

プラスチックの扱いは、2機種とも「耐熱90℃以上なら通常コースで洗える」という線で一致している。違うのは、90℃に届かない器を低温コースで救える範囲だ。
| 耐熱温度の表示 | パナソニック NP-TSP1 | シロカ SS-MA251 |
|---|---|---|
| 90℃以上 | どの運転内容でも洗える | 通常のコースで洗える |
| 65℃以上〜90℃未満 | 低温ソフトで洗える | ソフトコースで洗える |
| 60℃以上〜65℃未満 | 低温ソフトで洗える | 洗えない |
| 60℃未満・表示なし | 洗えない | 洗えない |
耐熱60℃と表示された器が多い家では、低温コースの下限が機種選びに関わる。NP-TSP1の説明書は、低温ソフトを使うときは給湯温度を45℃以下にするよう求めている。分岐水栓で給湯器につなぐ家は、この点も合わせて確かめたい。
洗えるプラスチックにも、手洗いとは違うクセがある。水をはじいて大きな水滴が残りやすいので、NP-TSP1の説明書は傾けてセットするよう案内している。シロカは、料理の色素で色が付くことがあるので食後すぐに洗うよう書いている。カレーやトマトソースの付いた保存容器は、そのまま翌朝まで置かないほうがよい。
SS-MA251は16点入りのタンク式で、分岐水栓式にも切り替えられる。洗浄後に扉が自動で開くオートオープンタイプで、洗浄温度は最高75℃と公式ページに書かれている。耐熱65℃未満のプラスチックをあまり使わない1〜3人の家なら、プラスチックの下限の差は気にならない。
鍋とフライパンは金属と表面加工で分ける

鍋とフライパンは、熱より洗剤との相性で扱いが変わる。パナソニックは、アルミ製・銅製の調理器具は食洗機専用洗剤の成分で表面が酸化し変色することがあり、鉄製はさびる場合があると案内している。シロカも、アルミ・銅の鍋や食器、鉄製のフライパンを洗えないものに入れている。アルミの雪平鍋や銅の卵焼き器は、手洗いに回すと決めておけばよい。
フッ素加工のフライパンは、表面に傷やはがれがあるものは入れないというのが両社の共通の条件だ。新品なら洗えるが、加工が傷んできたら手洗いに戻す。
鋳鉄のスキレットは、海外のメーカーが細かく書き分けている。米国のLodgeは、通常の鋳鉄製品は手洗いとし、食洗機に入れると油のなじみ(シーズニング)が落ちてさびやすくなると説明している。一方でホーロー加工の鋳鉄は「技術的には食洗機可」としながら仕上げを保つため手洗いを勧め、熱処理した製品は食洗機に入れられるが、洗うたびに油を薄く塗り直すよう求めている。同じ鋳鉄でも、製品の手入れ表示で扱いが変わる。
NP-TSP1は片手鍋なら全長33cm以下・高さ10cm以下、フライパンなら全長44cm以下(直径26cm以下)・高さ6.5cm以下まで入るとパナソニックは案内している。鍋を食洗機に任せたい家は、材質に加えて持ち手を含めた長さも測っておく。
焦げ付きやこびり付きは、材質に関係なく残りやすい。NP-TSP1の説明書は、グラタンの焦げ付きや茶わん蒸しのこびり付きを、洗う前にスポンジなどでこすり落とすよう書いている。
木・漆・装飾のある器とガラス

木と漆は、日本の台所で食洗機に入れたくなる代表だ。シロカは木(竹・とう)製の食器、重箱、漆塗りの食器を洗えないものに挙げ、パナソニックも高級漆器を高温に弱いものとしている。英国の消費者団体Which?は、木のへらやまな板は熱で割れ、そのひびに細菌がたまりやすいと説明している。木の汁椀や箸、まな板は手洗いのまま残すと考えておくと、食洗機を買ってからの期待外れが減る。
金・銀や金箔、上絵付けの皿は変色やはがれ、クリスタルグラスは白くくもるとパナソニックは説明している。結婚祝いの金彩の皿や、気に入っているカットグラスは、最初から手洗いの棚に分けておくとよい。
強化ガラス製のものは、パナソニック・シロカとも食洗機に入れないよう求めている。洗浄中に粉々に割れて破片が飛び散り、けがにつながるおそれがあるためだ。傷のついたガラス食器やひびの入った食器も、シロカは洗えないものに入れている。
包丁と水筒は、機種と製品の両方を見る

包丁は、食洗機の機種で答えが分かれる。パナソニックの公式案内では、プチタイプとパーソナルタイプは包丁を入れないよう求め、大容量タイプとスリムタイプはセットできるとしている。NP-TSP1は包丁なら全長31cm以下・厚み5mm以下まで入るとされている。シロカ SS-MA251の説明書は、包丁を洗えないものに入れている。
ただし入れられる機種でも、手洗いを勧める声は海外に多い。米国のConsumer Reportsは、食洗機対応とされた包丁でも、かごの中でほかのカトラリーとぶつかって刃が鈍ると指摘している。よく切れる状態を保ちたい包丁は手洗いに回し、食洗機には刃物以外を任せるほうが刃は長持ちする。
水筒は製品側の表示で決まる。サーモスは2020年発売の真空断熱ケータイマグ JOK-350/500で、全パーツを外して食洗機で洗えるようにした。それまでのケータイマグは、パッキンなど一部の部品を除いて食洗機に対応していなかった。Consumer Reportsは、食洗機対応と表示されていない真空断熱マグは、内側と外側の間の密閉部に水が入り、保温・保冷の力が落ちるおそれがあるとしている。古い水筒は本体の底の型番で、食洗機に入れてよいかを確かめたい。
NP-TSP1はマイボトルを高さ22cm以下までセットできる。背の高いボトルは、食洗機に対応していても庫内に入らないことがある。
英国のWhich?は、圧力鍋は本体を洗えても、ふたは熱と水流でパッキンが傷み、安全に使えなくなるおそれがあるとしている。電気圧力鍋のふたや内ぶた、パッキンを食洗機で洗えるかは、鍋の取扱説明書で確かめる。
届いた日に手洗いの棚を決めておく

食洗機を買ったあとに困るのは、家族それぞれが「これは入れていいのか」を毎回迷うことだ。最初の一回だけ、家の食器を次の順で分けておくと、その後の後片付けが速くなる。
- 食器の裏や外箱を見て、プラスチックの耐熱温度を確かめる。表示がないものは手洗いに回す。
- 木・竹・漆・金銀・金彩・クリスタル・強化ガラスの器を抜き出し、手洗いの棚にまとめる。
- アルミ・銅・鉄の鍋とフライパン、傷のあるフッ素加工のフライパンを手洗いに分ける。
- 包丁と水筒は、食洗機の説明書と製品の表示の両方で確かめる。
- 小さな軽い物(プラスチックのスプーンや小さなふた)は、小物かごや伏せ置きで飛ばないようにするか、手洗いにする。
パナソニックはさかずきのような軽い食器が水圧でかごから飛び出すことがあるとし、NP-TSP1の説明書は飛ばされやすい軽い物がヒーターカバーに落ちると発煙や焦げ、変形の原因になると書いている。軽い物の扱いは、器の傷みより食洗機の故障に関わる。
食洗機を選ぶなら、家の器を先に数える

これから卓上の食洗機を選ぶなら、家にある器の内訳が機種の差を測る物差しになる。耐熱60℃と表示されたプラスチック食器が多い家、包丁や鍋まで食洗機に任せたい家では、NP-TSP1の条件が合う。24点入りで、低温ソフトの下限が耐熱60℃以上、包丁やフライパンの寸法も公式に示されている。
1〜3人分で、包丁や鍋は手洗いでよく、乾燥後に扉が開いて蒸気が抜けてほしい家なら、SS-MA251が候補になる。設置場所や給水方式の比較は賃貸で置ける卓上食洗機の選び方で詳しく扱っている。
逆に、漆の椀や木の器、金彩の皿が毎日の食卓の中心にある家では、食洗機に任せられる量そのものが少ない。手洗いに残る器が半分を超える家は、食洗機の購入を急がなくてよい。手持ちのプラスチックの耐熱表示と、手洗いに回す器の数を一度数えてから決めても遅くない。






