電気毛布はポータブル電源で何時間使えるか|停電の夜なら768Whでも一晩もつ

停電した暗い寝室で、ポータブル電源につないだ電気毛布を掛けて休む様子

アイリスオーヤマの電気かけしき毛布EHB-FR1813B-DTは、定格消費電力が60Wある。ところが同社が示す電気代の目安は、室温20℃で温度調整を「弱」にして1時間使うと0.7円だ。1kWhあたり31円で計算した値なので、逆算すると1時間に約23Whしか使っていない。サーモスタットが温度を保つために電源を入れたり切ったりするので、定格の数字ほど電気を食わないのである。

暖房のなかでも電気毛布がこれだけ省電力だと、停電したときにポータブル電源で使える時間は長い。容量1024WhのAnker Solix C1000 Gen 2なら、定格の60Wで使い続けても計算上13時間ほどもつ。

使える時間は「容量×0.8÷消費電力」

ポータブル電源と電気毛布のコントローラー、使用時間の計算に使う電卓
ポータブル電源の表示容量の約8割を、つなぐ家電の消費電力で割る

ポータブル電源のメーカーのJackeryは、家電を使える時間の目安を次の式で求めるよう説明している。

使える時間(時間)= バッテリー容量(Wh)× 0.8 ÷ 家電の消費電力(W)

0.8を掛けるのは、バッテリーの直流を家庭用の交流に変換するときなどに電力のロスが出て、容量のすべてを家電に使えないからだ。この式に、電気毛布を定格の60Wで使った場合と、「弱」の目安の約23Whで使った場合を当てはめると、次のようになる。

ポータブル電源 容量 使える電力の目安(×0.8) 60Wで使い続けた場合 約23W(弱の目安)の場合 電気毛布2枚を60Wで
Anker Solix C1000 Gen 2 1024Wh 約819Wh 約13時間 約35時間 約6時間
BLUETTI AC70 768Wh 約614Wh 約10時間 約26時間 約5時間

どちらも、一晩(8時間)なら定格の60Wで計算しても足りる。2枚を同時に使う場合や、翌日も停電が続く場合は、残量の表示を見ながら設定を下げる。

注意

「弱」の約23Whは、室温20℃の部屋で使った場合の目安だ。停電で暖房が止まった部屋は20℃よりずっと寒くなり、毛布を温めておくための通電が増える。計画を立てるときは定格の消費電力で計算し、実際に「弱」でもった時間は余裕として考える。

電気ヒーターだと1時間ももたない

電気ヒーターとポータブル電源、ソファに広げた電気毛布
限られた電力で一晩をしのぐなら、暖める範囲と消費電力を比べる

同じ式で暖房器具を比べると、電気毛布の省電力ぶりがはっきりする。たとえば消費電力1200Wの電気ヒーターをAnker Solix C1000 Gen 2(AC定格出力1550W)で動かすと、819Wh÷1200Wで約40分しかもたない。電気毛布を定格の60Wで使った場合の約13時間と比べると、20分の1ほどだ。

容量に限りのあるポータブル電源で一晩をしのぐなら、部屋の空気を暖める器具より、布団の中で体を直接温める電気毛布のほうが向いている。部屋を暖めるのはあきらめ、厚着をして布団に入り、電気毛布で布団の中だけを温める。

ポイント

停電に備えるなら、電気毛布は「かけしき」兼用のものが使いやすい。敷いて使えば下からの冷えを防ぎ、掛けて使えば布団の中を温められる。どちらで使うかは取扱説明書の指定に従う。

寒い部屋では充電できない温度がある

玄関や廊下ではなく暖かい居間にポータブル電源を置いて充電している様子
充電は0℃以上の場所で。冬は保管場所の温度にも気を配る

冬のポータブル電源で気をつけたいのは、使える温度より充電できる温度のほうが範囲が狭いことだ。

製品 本製品の充電 機器への給電(放電)
Anker Solix C1000 Gen 2 0℃〜40℃ -20℃〜40℃
BLUETTI AC70 0℃〜40℃ -20℃〜40℃

どちらも、0℃を下回る場所では本体を充電できない。玄関の収納や物置、車の中などに置きっぱなしにしていると、停電が復旧したあと、あるいはソーラーパネルで充電しようとしたときに、本体が冷えすぎて充電が始まらないことがある。普段は居室に置き、満充電に近い状態を保っておく。

BLUETTI AC70は、放電の温度範囲について「最大500Wの場合、30℃〜40℃」という条件も付けている。電気毛布のような小さな負荷なら影響しないが、高い出力で使うときは置き場所の温度も見ておきたい。

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BLUETTI AC70
BLUETTI AC70
リサーチ日時:2026-10-22

BLUETTI AC70はAC定格出力が1000Wで、容量はAnker Solix C1000 Gen 2より小さい768Whだ。電気毛布と照明、スマートフォンの充電くらいを一晩まかなう用途なら、この容量でも上の表のとおり足りる。冷蔵庫も動かしたい、停電が丸一日以上続く地域に住んでいる、という家は1024Wh以上を選んだほうが残量の心配が少ない。

電気毛布を出す前に点検すること

押し入れから出した電気毛布を広げて、焦げ跡やコードの傷みがないか確かめている様子
停電の夜に初めて出すのではなく、冬の初めに一度広げて点検しておく

停電の夜は暗く、電気毛布の傷みに気づきにくい。冬の初めに一度出して点検しておく。英国のグレーター・マンチェスター消防救助局は、電気毛布について次のように呼びかけている。

  • 焦げ跡、カビ、露出した電線、生地のほつれ、湿った跡、すり切れたコードなど、傷みがないか定期的に確かめる。傷んでいたらすぐに使うのをやめる
  • 折りたたむと発熱体が傷み、火災の危険がある。平らに広げるか丸めて保管し、使うときは全体を広げる
  • 製造から10年を超えたものは買い替える
  • 湯たんぽと一緒に使ったり、使いながら飲み物を飲んだりしない。こぼれると電気的な故障の原因になる
  • 一晩中つけたまま使えると明記されていない製品は、寝る前にプラグを抜く

最後の項目は製品によって違う。就寝中に使えるか、タイマーがあるかは製品ごとに確かめる。手元の電気毛布の取扱説明書を冬の初めに読み直しておく。

停電中と復旧したあとの注意

停電中に家電のプラグを壁のコンセントから抜き、ランタンの明かりで確認する手元
復旧時のサージに備え、停電中は家電のプラグを抜いておく

米国の防災情報サイトReady.gov(連邦緊急事態管理庁)は、停電時の注意として、発電機と燃料は必ず屋外で、窓やドア、車庫から20フィート(約6m)以上離して使うよう求めている。一酸化炭素は色もにおいもなく、命を落とすおそれがあるからだ。ガスコンロやオーブンで部屋を暖めてはいけないとも書いている。

ポータブル電源は燃料を燃やさず排気を出さないので、寝室に置いて使える。マンションのベランダや狭い庭で発電機を離して置くのが難しい日本の住まいでは、この点が大きい。

Ready.govは、電気が戻るときに一時的な電圧の急上昇(サージ)が起きることがあるとして、停電中は家電や電子機器のプラグを抜いておくよう勧めている。停電したら、電気毛布をポータブル電源につなぎ替え、壁のコンセントにはつないでいない状態にしておく。

補足

在宅で酸素濃縮装置などの医療機器を使っている家は、ポータブル電源で動かせるかどうかを電気毛布と同じ計算で判断しない。Ready.govも、電気で動く医療機器の停電時の計画を主治医と話し合っておくよう勧めている。機器のメーカーや医療機関に確かめる。

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参考文献

6件
  1. アイリスオーヤマ「電気かけしき毛布」:公式製品ページ(EHB-FR1813B-DTの仕様と電気代の目安、参照日・確認日:2026-10-22)
  2. Jackery Japan「ポータブル電源で電化製品を使える時間は?計算方法を分かりやすく解説」:公式ブログ(参照日・確認日:2026-10-22)
  3. Anker Japan「Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station」:公式製品ページ(参照日・確認日:2026-10-22)
  4. BLUETTI Japan「BLUETTI AC70」:公式製品ページ(参照日・確認日:2026-10-22)
  5. Ready.gov(Federal Emergency Management Agency)「Power Outages」:公式ページ(参照日・確認日:2026-10-22)
  6. Greater Manchester Fire and Rescue Service「Electric blankets」:公式ページ(参照日・確認日:2026-10-22)
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