コードレス掃除機が以前より早く止まるようになったら、まず疑うのはモーターではなくバッテリーだ。リチウムイオン電池は消耗品で、日立は取扱説明書で「正しく充電しても使用時間が著しく短くなったときは、電池の寿命」と書いている。本体はまだ使えるのに、電池だけが先に弱る。
だから買い替えを決める前に、手元の機種で電池だけ交換できるかを確かめたい。交換のしかたは機種によって大きく違い、マキタのように電池を差し替えるだけの機種もあれば、ねじを外して入れ替える機種、販売店に部品を取り寄せてもらう機種もある。電池をスライドして外せるマキタ CL107FDSHWは、交換と予備電池の追加がいちばん簡単な例だ。
交換の目安は年数より運転時間

国内メーカーの説明書は、電池が何年もつかを示していない。日立は電池の寿命は周囲の温度や使用頻度などで変わるとし、交換の目安を「正しく充電しても使用時間が著しく短くなったとき」としている。
海外の消費者団体は、もう少し具体的な数字を出している。英国のWhich?は、約500回の充電で一部の掃除機はバッテリーが少なくとも3分の1ほど減ると報告している。ニュージーランドのConsumer NZは、週2回の通常使用なら少なくとも4年は、容量が65〜70%を下回らずに使えるべきだとしている。
目安にしやすいのは、いつもの掃除が最後までできるかどうかだ。買った頃は1回の充電でリビングと廊下まで終わっていたのに、今は途中で止まる。標準モードでも足りなくなったら、交換を考える時期と見てよい。
寒い部屋や暑い場所では、電池が弱っていなくても運転時間が短くなる。日立は、正しく充電しても寒い所や暑い所で運転すると運転時間が短くなったり、強運転できないことがあるとし、15〜25℃程度の場所にしばらく置いてから使うよう案内している。冬の玄関に置いたまま使っているなら、置き場所を変えてから判断する。
4機種の純正電池と交換のしかた

取扱説明書と公式FAQで確かめた、交換用電池と交換のしかたは次のとおりだ。
| 機種 | 交換用の純正電池 | 交換のしかた | 付属の電池と充電時間 |
|---|---|---|---|
| マキタ CL107FDSHW | バッテリ BL1015(1.5Ah)。別売でBL1040B(4.0Ah)も使える | スライド式の電池を抜いて差し替える | BL1015が1個。充電器DC10SAで約22分 |
| パナソニック MC-SB34J | リチウムイオン電池 AVA97V-1A | 電池カバーAをマイナスドライバーで外し、ねじ2本の電池カバーBを外して入れ替える | 本体内蔵。充電約3.0時間 |
| 日立 PV-BL3M | 日立充電式掃除機専用電池 PVB-1825B(サービスパーツ PV-BL3M-008) | 販売店や日立の家電品取扱店で型式を指定して取り寄せ、交換する。交換作業を頼む場合は部品代のほかに作業費がかかる | 本体に取り付けて充電。約2時間 |
| Shark LC551J | 付属のリチウムイオンバッテリー2個を使い分ける | 運転時間は2個を続けて使ったときの値で示されている | 2個付属。充電約3.5時間 |
パナソニックの公式FAQは、交換前に電池残量がなくなって完全に止まるまで使ってから取り出すよう求め、交換直後の電池は充電が足りないので使う前に必ず充電するよう書いている。電池の入手先は、販売店か公式通販のPanasonic Store Plusだ。
MC-SB34Jは、スティック時1.3kgのサイクロン式で、運転時間はHIGHで約8分、ONで約25分(付属ノズル使用時は約30分)とされている。電池は本体に内蔵されているが、ドライバーがあれば自分で入れ替えられる構造だ。
日立 PV-BL3Mの運転時間は、強で約8分、自動で約8〜30分、パワーヘッドを付けた標準で約30分だ。電池は専用品のPVB-1825Bで、日立純正の本機専用電池以外を使わないよう説明書は求めている。
予備の電池で運転時間を延ばす

電池を抜き差しできる機種は、交換だけでなく予備の電池でも運転時間を延ばせる。Which?も、2個目の電池を用意して片方を充電しながら使う方法を勧めている。
Shark LC551Jは最初から電池が2個付く。スティックとして使うと、2個を続けて使った場合にエコモードで約50分、ブーストモードで約15分。1個ならエコモード約25分、ブーストモード約7分30秒だ。家全体を一度に掃除する家では、電池を交互に使えることがそのまま運転時間の長さになる。
マキタ CL107FDSHWは、付属のBL1015(1.5Ah)での連続使用時間がパワフル約10分、強約12分、標準約25分。説明書には、別売のBL1040B(4.0Ah)も使えるバッテリとして載っている。充電は約22分なので、予備のBL1015を1個足すだけでも、掃除の途中で止まったときに待たずに続けられる。
LC551Jは自動ゴミ収集ドック付きのモデルで、Shark日本公式の保証は2年だが、バッテリー等の消耗品は保証の対象から外れている。電池の劣化は保証では直らないので、交換費用は使い続ける前提の費用として見ておきたい。
互換バッテリーを避ける理由

ネット通販には、純正よりかなり安い「互換バッテリー」が多く並んでいる。だがメーカーは、指定品以外の電池を使わないよう説明書で明記している。
マキタは、マキタ指定以外のバッテリや改造したバッテリ(分解してセルなどの内蔵部品を交換したものを含む)を使わないよう警告し、性能や安全性が損なわれ、火災やけが、故障、破裂の原因になるとしている。日立も、日立純正の本機専用電池以外を使わないよう求めている。Which?は、安い他社製の電池は品質と互換性を保証しにくいと指摘する。
互換バッテリーや分解して中身を入れ替えた電池は、メーカーが安全性を確かめていない。発熱や発火のおそれがあるうえ、故障しても本体の修理を受けにくくなる。交換するなら、説明書やメーカーのFAQにある型番の純正電池を選ぶ。
電池を長持ちさせる充電と保管

電池の弱り方は、充電と保管のしかたでも変わる。日立 PV-BL3Mの説明書は、電池を長持ちさせるために次のことを挙げている。
- 使った時間にかかわらず、掃除が終わったら充電する。
- 掃除中に電池が切れて止まったら、スイッチを何度も押して無理に動かさない。電池寿命が短くなる。
- 1か月以上使わないときは、満充電にしてから本体から電源を外して保管し、1年に1回は充電する。
- 充電は室温5℃以上35℃未満の場所で行う。
Consumer NZも、電池を使い切るまで運転するより、こまめに充電するほうが劣化を抑えられるとし、直射日光の当たらない涼しい場所に置き、使った直後で熱いときは冷ましてから充電するよう勧めている。充電スタンドを西日の当たる窓辺に置かないだけでも、電池の負担は減らせる。
マキタの充電器は、充電を始めたあと表示ライトが赤と緑の交互点滅を繰り返すと、バッテリの寿命かゴミづまりで充電できない状態を示す。こうなったら新しい電池を考える合図になる。
交換か買い替えか

吸い込みやヘッドに不満がなく、電池だけが弱ったなら交換がよい。純正電池の型番が分かっていれば、販売店で取り寄せてもらえる。パナソニックや日立のように型番が説明書やFAQに載っている機種は、手元の説明書を探すだけで次の手が決まる。
一方で、ヘッドのブラシが傷んでいる、ゴミ捨てが面倒で掃除機を出さなくなった、といった不満も重なっているなら、電池だけ替えても使い方は変わらない。買い替えの候補を比べるときは、交換用電池が販売されているか、予備の電池を足せるかも見ておく。交換電池を型番で買える機種は、長く使うほど得になる。電池だけを替えれば、ヘッドや充電スタンドはそのまま使い続けられる。

古い電池は、ごみとして捨てない。パナソニックは、不要になった電池を充電式電池リサイクルの協力店や協力自治体へ持ち込み、その前にコネクターをテープなどで絶縁し、電池を分解しないよう案内している。








