パナソニックのドラム式洗濯乾燥機の取扱説明書には、「室温5℃以下では乾きにくくなることがあります」と書かれている。冬に乾燥が長引くと寒さのせいにしたくなるが、同じページで真っ先に確かめるよう挙げられているのは乾燥フィルターのゴミだ。洗面所が5℃を下回る家はそう多くない。乾燥に時間がかかるようになったら、まずフィルターと糸くずの通り道を掃除する。
フィルターの場所や手入れの頻度は、メーカーによってかなり違う。パナソニックのドラム式は、乾燥のたびに上部の乾燥フィルターを掃除する設計だ。NA-LX129ELもヒートポンプ式の乾燥ユニットを本体上部に置いた「トップユニット」方式をとる。
乾燥に時間がかかる主な原因

パナソニックのNA-LX125Bの取扱説明書は、「乾きにくい/乾燥時間が長い」ときの確認項目を3つに分けている。フィルター、衣類の量や状態、使い方だ。並べてみると、故障を疑う前に自分で直せる原因がほとんどであることが分かる。
| 確認すること | 取扱説明書にある内容 | すること |
|---|---|---|
| 乾燥フィルターのゴミ | ゴミが付いていないか。取り除いても網目が詰まっている場合がある | 取り外して掃除し、詰まっていればぬるま湯で洗って乾かす |
| 乾燥フィルターの上 | 乾燥フィルターが吸気口になっているため、上に物を置かない | 洗濯機の上を物置きにしない。排気口も衣類でふさがない |
| 衣類の量 | 各コースの容量を超えていないか | 容量以下にする。乾燥の容量は洗濯の容量より少ない |
| 衣類の種類 | 綿類や、ジーンズ・トレーナーなどの厚手の衣類が多くないか | 追加乾燥をするか、「しっかり」乾燥を選ぶ |
| タオルだけの洗濯〜乾燥 | 脱水でタオルがドラムに貼り付き、乾きが悪くなる | ほかの衣類(2〜3割程度)と合わせて運転する |
| 洗濯ネット | ネットに入れたまま乾燥していないか | 乾燥のときはネットから出す |
| ドアの開閉 | 途中で何度も開けたり、開けたままにしたりしていないか | 開閉を最小限にする |
| 室温 | 室温が低くないか | 室温5℃以下では乾きにくくなることがある |
同じ取扱説明書は、乾燥機用の柔軟剤シートを使わないようにも書いている。すき間に入り込んで故障の原因になるからだ。
乾燥フィルターのホコリを取ったあと、光にかざして網目を見る。ホコリを取っても目が詰まっていれば、ぬるま湯で洗って十分に乾かしてから戻す。洗剤成分や細かい繊維で目が詰まると、見た目にきれいでも風が通りにくい。
フィルターの場所と手入れの頻度

乾燥中に出る糸くずやホコリの集め方は、大きく3通りある。パナソニックは乾燥経路で捕まえ、日立は水で流して下の1か所に集め、シャープは乾燥フィルターのホコリを機械がかき集める。掃除の回数がいちばん変わるのは乾燥フィルターの扱いだ。
| メーカー(機種) | 乾燥時のホコリを集める場所 | 自分で掃除する頻度の目安 |
|---|---|---|
| パナソニック(NA-LX125Bの取扱説明書) | 本体上部の乾燥フィルター。取りきれなかったものは排水フィルターへ | 乾燥フィルターは乾燥のたび、「U04」表示時にも。排水フィルターは週1回程度 |
| 日立(BD-STX130M) | 乾燥フィルターはなく、本体下部の大容量糸くずフィルター1か所 | 約2週間に1回(洗濯〜乾燥7kgを1日1回運転した場合の同社の目安) |
| シャープ(ES-X12C) | 乾燥フィルター(メインとサブ)。メインは乾燥後にブレードが自動でダストボックスへ集める | ダストボックスのホコリを捨てる。ドアパッキンは2〜3週間に1回程度めくって確かめる |
パナソニックは、乾燥時のホコリをそのまま排水フィルターへ流さず、まず乾燥フィルターで捕まえる理由を、乾燥性能の低下を防ぐことと排水管への負担を減らすことだと説明している。乾燥フィルターは以前は本体の下部にあったが、手入れのしやすさを考えて上部へ移したという。
日立のBD-STX130Mは、乾燥フィルターをなくした。乾燥のホコリや糸くずは次の洗濯運転で洗い流され、本体下部の大容量糸くずフィルターにたまる。乾燥経路には保護フィルターが2つあり、熱交換器と一緒に次の洗濯のときにシャワーで洗い流される。同社は、乾燥経路が汚れていると乾燥時間が長くなる原因になると書いている。
シャープのES-X12Cは、乾燥ダクトと排気口に付いた洗剤成分と糸くずも、次の洗濯のときに給水を使って洗い流す。ドアパッキンの内側の糸くずも次の洗濯で流すが、汚れの程度によっては流しきれないとして、2〜3週間に1回程度、パッキンをめくって確かめるよう求めている。
パナソニックのNA-LX125Bの取扱説明書は、乾燥フィルターの奥にもう1枚「乾燥フィルター(奥)」があり、「U04」が表示されたときはこれを外して水洗いするよう書いている。指の腹でこすりながら洗い、よく乾かす。ブラシでこすったり、乾燥フィルターを外したまま運転したりしない。外し方は機種ごとに違うので、手元の取扱説明書の図で確かめる。
乾燥だけの運転を続けるとき

冬は、部屋干しで乾ききらなかった衣類を乾燥だけかけ直す使い方が増える。ここで注意したいのが、自動おそうじの多くが次の洗濯運転の水を使って糸くずを流す仕組みであることだ。
日立は、3つの自動おそうじ(洗濯槽、乾燥経路、ドアパッキン)について、乾燥のみの運転時や一部のコースでは作動しないと明記している。乾燥のみを続けたり、洗濯機を使う間隔が空いたりするときは、「槽洗い(槽洗浄15分)」コースを使うよう案内している。シャープも、前回の乾燥運転から使用間隔が空くと、ホコリや糸くずを洗い流せない場合があるとしている。
パナソニックの取扱説明書は、乾燥運転の準備として水栓を開けるよう書いている。乾燥運転の前と後に、ドラム内の乾燥経路にたまる糸くずを水で流すからだ。乾燥だけだからと水栓を閉めたまま運転しない。
冬の朝は、水道や給水ホースが凍結して給水できないことがある。パナソニックの取扱説明書は、給水できないときの確認項目に凍結を挙げている。凍結したまま無理に運転せず、取扱説明書の手順で解かしてから使う。
アメリカの乾燥機火災は1月に多い

米国消防庁(USFA)が2008〜2010年のデータをまとめた報告では、住宅で起きた衣類乾燥機の火災は年に推計2,900件あった。発火の要因で最も多かったのは「掃除をしていなかった」で34%。最初に燃えた物は、ほこり・繊維・糸くずが28%、衣類が27%だった。月別では秋から冬に多く、1月が11%で最も多い。
安全規格の試験・認証を行うUL Solutionsも、乾燥機火災の多くは、燃えやすい糸くずが排気経路に引っかかり、発火するほど加熱されて起きると説明している。糸くずが燃えやすいのは、衣類に使われる合成繊維のためだという。
アメリカの乾燥機は、ガスや電気のヒーターで温めた空気をダクトで屋外へ排気する方式が多く、日本のヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機とは構造が違う。パナソニックのNA-LX125Bの取扱説明書では、ヒートポンプ乾燥の温風は約65℃の「低温風」とされている。だから火災の数字をそのまま日本の家に当てはめることはできない。それでも、糸くずが乾燥経路にたまって風の通りを悪くすること、そして乾燥機を使う回数が増える冬ほど手入れが遅れやすいことは変わらない。
冬だけ乾燥の回数が増える家は、フィルター掃除の頻度を「何日おき」ではなく「乾燥何回ごと」で考える。パナソニックなら乾燥のたび、日立なら糸くずフィルターの目安(約2週間)を乾燥の回数が多い週は早める、と決めておくと忘れにくい。
手入れの回数で選ぶ買い替え
フィルターを掃除しても乾燥時間が戻らず、取扱説明書の確認項目にも当てはまらないときは、販売店やメーカーの修理窓口に相談する。そのうえで買い替えを考えるなら、乾燥性能の数字だけでなく、自分で掃除する場所と回数を比べておきたい。
パナソニックのNA-LX129ELは、乾燥のたびに上部の乾燥フィルターを掃除する前提の機種だ。手入れの回数は多いが、フィルターが上にあるのでかがまずに取り出せる。乾燥のたびに状態を目で確かめられる点を、安心材料と考える人に向く。
日立のBD-STX130MLは、乾燥フィルターをなくし、手入れの場所を本体下部の糸くずフィルター1か所にまとめた。毎回の乾燥フィルター掃除が面倒で、洗濯から乾燥まで続けて回すことが多い家に向く。乾燥だけの運転が多いと自動おそうじが働かないので、そういう使い方が多い家は槽洗いコースを併用する。
シャープのES-X12Cは、メインの乾燥フィルターのホコリをブレードが自動でダストボックスに集め、乾燥ダクトや排気口も次の洗濯で洗い流す。ダストボックスのホコリを捨てる手入れは残るが、フィルターの網目を自分でこそげ取る手間は減る。
どの機種でも、ドアパッキンの裏や排水まわりの手入れがゼロになるわけではない。日立もシャープも、自動おそうじで流しきれない汚れがあることを断っている。掃除の回数を減らす機能であって、掃除をなくす機能ではないと考えて選ぶと、買ったあとに裏切られた気持ちにならずに済む。







