日立のドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」BD-STX130Mの取扱説明書には、「引っ越しをするときや凍結のおそれがあるとき」にする作業として、給水ホースとドラムの水を抜く手順が載っている。水が残っていなければ、凍ることもない。冷え込みが予想される夜の前に一度やっておけば、朝に洗濯機が給水できずに止まる事態を防げる。
日本では、洗濯機をベランダや廊下の洗濯機置き場に置く集合住宅も多い。寒冷地でなくても、強い冷え込みの朝には蛇口や給水ホースが凍ることがある。日立のBD-STX130Mは、水抜きを操作パネルのコースを使って進められる。
凍りやすいのは蛇口と給水ホース

日立は、気温の低下が予想されるときや、洗濯機を長いあいだ使わないときは、蛇口やホースが凍結しやすくなると説明している。勧めている対策は2つだ。
| 対策 | 日立の説明 |
|---|---|
| 洗濯機の水抜きをする | 給水ホース、洗濯槽、排水ホースの水を抜く |
| 洗濯機を保温する | 本体の背面(上部)を毛布などで保温する |
BD-STX130Mの取扱説明書は、寒冷地で凍結のおそれがあるときは、洗濯機の後ろ側の上部を毛布などで保温するよう書いている。給水ホースは本体の背面の上につながっているので、ここが冷えにくいように覆う。
凍結しやすいのは、外気に触れる場所に置いた洗濯機だけではない。北向きの洗面所や、暖房のない脱衣所でも、冷え込みの強い夜には室温が大きく下がる。洗濯機を置いた場所の最低気温が気になるなら、温湿度計を置いて朝の温度を一度見ておくとよい。
BD-STX130Mで給水ホースとドラムの水を抜く

BD-STX130Mの取扱説明書にある手順を、順番どおりにまとめる。操作パネルの表示名は取扱説明書のとおりだ。
- 排水ホースが排水口に差し込まれていることを確かめてから、水栓(蛇口)を閉める
- 電源を入れ、「洗濯」または「清潔」から「槽洗浄」→「槽洗浄4時間」の順にタッチする
- スタートを押して約10秒間運転する。すぐに運転が始まり、給水ホース内の水が抜ける
- 一時停止し、電源を切る
- 給水ホースを外して下に向ける。残った水が垂れるので、ホースの先にバケツなどを置くか、ぞうきんで受ける
- 電源を入れ、「洗濯」→「標準」の順にタッチし、「洗い」と「すすぎ」を「なし」にして、脱水「1分」だけの設定にする
- スタートを押して脱水を1分運転する。ドラムとホース内の残水が排水される
水栓を閉めてから短く運転することで、給水ホースに残った水が本体側へ抜ける。最後の脱水で、ドラムとホースに残った水を外へ出す。
次に使うときは、給水ホースをしっかり取り付けてから水栓を開ける。取り付けが不十分なまま水栓を開けると、接続部から水が漏れる。水抜きのあとは、水栓を開けたときに接続部から水がにじまないかを目で確かめる。
凍ったときはぬるま湯で、熱湯は使わない

それでも凍ってしまったら、お湯で解かす。ここで注意したいのがお湯の温度だ。日立とパナソニックは、どちらも熱いお湯を使わないよう具体的な温度を示している。
| 手順 | 日立(洗濯機の凍結のよくある質問) | パナソニック(NA-LX125Bの取扱説明書) |
|---|---|---|
| 蛇口・接続部 | 蛇口にタオルを巻き、約40℃のお湯をかける | 接続部を熱い蒸しタオルで包む |
| 給水ホース | たらいなどに約40℃のお湯を入れ、ホースを浸す | ホースを外し、50℃以下のお湯につける |
| 本体(洗濯槽・ドラム) | 洗濯槽に約40℃のお湯を5L入れ、10分間置く | お湯を2〜3Lドラムに入れる |
日立は、高温のお湯をかけると水道管の故障の原因になり、洗濯槽に入れるお湯も高温だと故障の原因になるので約40℃に冷ましてから入れるよう書いている。やかんで沸かしたお湯をそのままかけるのは避ける。
解かしたら水栓を開け、接続部から水が漏れていないかを確かめてから運転する。パナソニックの取扱説明書は、断水したあとに濁った水が出ると衣類の黄ばみや汚れの原因になることがあるので、水がきれいになるのを待ってから運転するよう書いている。
凍っているかどうか分からないときは、まず洗濯機を回さずに蛇口を少し開けて、水が出るかを確かめる。蛇口から出ないなら水道側、蛇口から出るのに洗濯機が給水しないなら給水ホースや本体側が凍っていると考えられる。
アメリカの自治体が禁じる解かし方
アメリカでは、凍った水道管による被害が冬の住宅の大きな問題になっている。デトロイト市の資料は、毎年冬に平均25万戸ほどの住宅が凍った水道管で被害を受け、配管の8分の1インチ(約3mm)のひびから1日に最大250ガロン(約950L)の水が噴き出すことがあると書いている。
ケンタッキー州水資源局は、凍った配管を解かすときは、まず蛇口を開けてから、お湯をかけるかお湯に浸したタオルで包むよう勧めている。そのうえで、トーチや灯油・プロパンのヒーターなど、炎の出る器具で解かしてはいけないとしている。トーチで熱すると配管の中の水が沸騰して破裂するおそれがあり、家の中の炎は火災と一酸化炭素中毒の危険も大きいからだ。
デトロイト市の資料も、炎で解かそうとせず、ドライヤーの温風で蛇口に近い側から冷えている部分へ向かって温めるよう勧めている。凍っている場所が分からない、手が届かないときは、元栓を閉めて配管業者に頼む。
日本の洗濯機の場合も考え方は同じで、急に熱を加えず、メーカーが示す温度のお湯でゆっくり解かす。給水ホースや蛇口が破れて水が漏れたら、すぐに水栓を閉め、販売店や水道業者に相談する。
冬に水抜きしやすい洗濯機
凍結が心配な場所に洗濯機を置いている家は、買い替えのときに、水抜きの手順を操作パネルで進められるかも見ておきたい。日立のBD-STX130Mは、上の手順のとおり、槽洗浄と脱水のコースを使って給水ホースとドラムの水を抜ける。取扱説明書はWebでも公開されていて、スマートフォンで手順を見ながら作業できる。
パナソニックのドラム式は、取扱説明書の「こんなときは」の項目で、給水できないときの確認として水道や給水ホースの凍結を挙げ、凍ったときの解かし方を図で説明している。NA-LX129ELは同社のLXシリーズの機種で、洗濯12kg・乾燥6kgの容量がある。
どのメーカーの洗濯機でも、凍結を防ぐいちばん確実な方法は、冷え込む前に水を抜いておくことだ。天気予報で冷え込みが強いと分かった晩は、最後の洗濯のあとに水抜きを済ませてから寝る。






