米国の消費者団体Consumer Reportsは、ノートパソコンの画面を70〜75%のアルコールを含むシートで拭くよう勧めている。一方、EIZOの27型4Kモニター EV2740Xの取扱説明書が基本にしているのは、少量の水を含ませた柔らかい布だ。アルコールや消毒薬は、光沢の変化や色あせ、表示画質の劣化につながるおそれがあるとして、頻繁に使わないよう書いている。年末の大掃除でモニターを拭くなら、汚れを落とすのか消毒したいのかで道具を分けるのが安全だ。
EV2740Xの画面は、照明の映り込みを抑えるアンチグレア(非光沢)処理の27型IPSパネルだ。以下の拭き方は、この機種の取扱説明書とEIZOの消毒FAQに基づくが、ほかの液晶モニターやノートパソコンの画面にもほぼそのまま当てはまる。
EIZOと米国の検証、4つの助言の違い

モニターの拭き方は、情報源によってアルコールの扱いがはっきり分かれる。4つの助言を並べると、違いは次のとおりだ。
| 情報源 | 基本の道具 | アルコール | 液体のかけ方 |
|---|---|---|---|
| EIZO EV2740X 取扱説明書 | 少量の水を含ませた柔らかい布、またはEIZO製ScreenCleaner | 光沢の変化・色あせ・画質の劣化につながるおそれがあり、頻繁に使わない | 製品に液体を直接付けない |
| EIZO 消毒FAQ(感染症対策) | ScreenCleaner付属のマイクロファイバークロス | 濃度70%のイソプロピルアルコールで布を湿らせる。塗装部分には使わない | 薬品を直接吹き付けない |
| Consumer Reports(ノートパソコン) | 70〜75%のアルコールシートとマイクロファイバー2枚 | 勧めている。代わりに白酢と蒸留水の薄めた液も可 | 液を画面に直接付けない |
| RTINGS(モニター) | 乾いたマイクロファイバー | 市販のクリーナー類は筋が残るとして勧めない | 液体を使うなら蒸留水だけ |
EIZOの消毒FAQは、新型コロナウイルスの流行で問い合わせが増えたことを受けて出た案内で、目的は消毒だ。同じFAQにも、この手順で光沢の変化や変色、画質の劣化が起こりうると書かれている。Consumer Reportsの助言もノートパソコンの画面を対象にした検証担当者の話に基づくもので、機種ごとのコーティングまでは区別していない。
編集部の判断は、ふだんの汚れ落としは乾拭きと水で済ませ、アルコールは家族の風邪が続いたときなど消毒が必要な場面に限るというものだ。メーカーの説明書と米国の検証が一致しているのは、「布を湿らせる」「画面に液体を直接かけない」「強く押さない」の3点で、ここは機種を問わず守りたい。
Consumer ReportsとRTINGSはどちらも、水道水ではなく蒸留水を使うよう勧めている。水道水に含まれる成分が画面に残ったり傷めたりするおそれがあるためだ。日本でそろえるなら、ドラッグストアで買える精製水が手軽な代わりになる。EIZOの説明書は「少量の水」としか書いていないが、拭き跡を残したくないなら精製水を使うと安心だ。
電源を切ってから拭く5つの手順
EIZOの消毒FAQは、電源を切り、電源コードを外してから作業するよう求めている。電源が入ったまま、あるいはコンセントにつながったままの製品を拭かないこと、ほかの機器もすべて外すことも書かれている。黒い画面にすると汚れが見やすいという理由で、画面を点けたまま拭く人もいるが、湿った布で拭く以上は電源を落としておきたい。
手順にすると次のようになる。
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パソコンを終了し、モニターの電源を切る。 電源コードをコンセントから抜き、USB-CやHDMIのケーブルも外す。

拭く前に電源を切り、電源コードとケーブルを外す -
乾いたマイクロファイバークロスでほこりを払う。 画面の上から下へ、力を入れずになでる。ほこりが乗ったまま湿らせた布でこすると、粒で傷を付けやすい。

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残った指紋や油汚れは、布を湿らせて拭く。 水(できれば精製水)を布に少量含ませ、しずくが垂れない程度まで絞る。画面に直接吹きかけない。

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乾いた別のクロスで水気を取る。 Consumer Reportsは、拭いたあとに2枚目のマイクロファイバーで仕上げるよう勧めている。

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完全に乾いてから電源を入れる。 EIZOのFAQは、電源を入れる前に表面に液体が残っていないことを確かめるよう書いている。

画面に直接スプレーすると、しずくが下の縁へ流れ、枠のすき間から中へ入ることがある。EV2740Xの説明書も、製品の隙間や内部に液体が入らないよう注意している。液は必ず布の側に付け、縁は布の角で軽く押さえるように拭く。
ティッシュとガラスクリーナーを使わない理由

大掃除の流れで、窓用のクリーナーやティッシュに手が伸びやすい。どちらも画面には向かない。
| 使わないもの | 理由 |
|---|---|
| ティッシュペーパー | EV2740Xの説明書は、ティッシュで強くこすっても傷が入ると注意している |
| ペーパータオル | RTINGSの試験では、乾いたものでも濡らしたものでも筋が残った。濡らしたほうが筋がひどかった |
| ガラス用クリーナー | Consumer Reportsは、パソコンメーカーが勧めておらず画面を傷めるおそれがあるとしている |
| シンナー、ベンジン、ワックス、研磨クリーナー | EIZOの説明書とFAQがともに「絶対に使用しない」としている |
| 古い布、ブラシ | Consumer Reportsは古い布を傷の原因に挙げ、EIZOの英語版FAQはブラシでこすらないよう書いている |
画面を強く押すのも避けたい。 EV2740Xの説明書は、液晶パネルの表面や外枠を強く押すと干渉縞などの表示異常が起こることがあると書いている。指紋が落ちないときは、力を足すより布を湿らせ直して何度か軽く拭くほうがよい。
EIZOの消毒FAQは、イソプロピルアルコールやエタノールが塗装を剥がすため、塗装部分には絶対に使わないよう書いている。除菌シートで画面のついでに枠やスタンドまで拭くと、塗装の色が抜けることがある。消毒が必要なのは、手で触れるボタンまわりなど限られた場所だけだ。
光沢画面とアンチグレア画面

RTINGSによると、多くのモニターは表面がざらっとしたマット(非光沢)処理で、光沢(グレア)のある画面は汚れが目立ち、傷も付きやすい。光沢画面には、毛足の長いふわっとしたマイクロファイバーを使うよう勧めている。布の繊維にほこりが入り込み、画面との間でこすれにくくなるためだ。
EV2740Xはアンチグレア処理なので、映り込みが少ない代わりに、皮脂の汚れが白っぽくにじんで見えることがある。この汚れも乾拭きだけでは取りきれないことが多く、水で湿らせた布の出番になる。一方、ノートパソコンや一部の外付けモニターに多い光沢画面は、乾拭きの段階で傷を付けやすいので、ほこりを払うときから布を選びたい。
EIZOは、モニター表示面用のクリーニングキット ScreenCleaner を1,980円(税込、2026年10月22日に公式ページで確認)で販売している。消毒FAQでも、付属のマイクロファイバークロスの使用を勧めている。ノートパソコンにクロスが付属している場合も、まずそれを使い、なければ眼鏡用などの柔らかいマイクロファイバーで代用する。
冬の結露と電源を入れるタイミング

年末は、模様替えでモニターを別の部屋へ移したり、寒い車内や物置から持ち込んだりする機会が増える。EV2740Xの説明書は、冷え切った状態のまま室内に持ち込んだり、急に室温を上げたり、寒い部屋から暖かい部屋へ移したりすると、製品の表面や内部に結露が生じることがあると書いている。結露したまま電源を入れると故障の原因になるため、結露がなくなるまで待つよう求めている。
表面の曇りは目で見えても、内部の結露は外から分からない。冷え込んだ朝に、暖房のない部屋からモニターを運んだときは、暖かい部屋に置いてしばらく電源を入れずに待ち、画面と枠に曇りや水滴がないことを確かめてからケーブルをつなぐ。曇った画面をその場で布で拭き取っても、内部の結露は消えない。
EIZOのFAQは、消毒のあとも表面に液体が残っていないことを確かめてから電源を入れるよう書いている。水拭きのあとも同じで、枠のすき間に水が残っていそうなら、数分置いてから電源を入れる。
大掃除の前に確かめる3つのこと

モニターの拭き方で迷ったら、まずは手元の取扱説明書を開き、「お手入れ」や「クリーニング」の項目を確かめたい。メーカーによって勧める道具が違い、同じメーカーでも汚れ落としと消毒で手順が分かれていることがある。説明書が見当たらなければ、メーカーのサポートページで型番を入れれば電子版を探せることが多い。
- 説明書のお手入れ欄を読む。 水拭きの可否、使ってよい薬品、使ってはいけない薬品を確かめる。
- 画面がマットか光沢かを見る。 光沢画面なら、乾拭きの布から柔らかいものを選ぶ。
- 消毒が必要かを決める。 必要なときだけ、70%前後のアルコールで布を湿らせて手早く拭き、塗装部分には付けない。
この3つを決めてから拭けば、年に一度の大掃除で画面の光沢を損ねたり、内部に水を入れたりする失敗は避けられる。





