消費者庁が2024年12月に出した高齢者の事故に関するコラムには、冬の入浴の注意点として「部屋間の温度差について温度計を活用し、温度の見える化をしましょう」という一文がある。暖かい居間から寒い脱衣所へ移ると、血圧が急に変わりやすい。感覚では気づきにくい寒さを、温湿度計の数字で確かめる。湯気と水しぶきのかかる脱衣所や浴室には、SwitchBot 防水温湿度計のような防水の機種が扱いやすい。
カードのリンク先では、IP65の防水防塵構造と、-20〜60℃の動作温度を確かめられる。公式ストアの価格は1,980円(2026年10月22日確認)。本体に画面はなく、温度と湿度はスマホのアプリで見る。
冬の浴室で何が起きているか

消費者庁のコラムによると、2023年に「不慮の溺死及び溺水」で亡くなった65歳以上の高齢者は8,270人で、そのうち浴槽での事故は6,541人、約8割が入浴中だった。同じ年の65歳以上の交通事故死者は2,116人で、入浴中の事故はその3倍を超える。
冬に事故が増える理由として、消費者庁は二つを挙げている。暖かい室内と寒い脱衣所や浴室との寒暖差による急激な血圧の変動と、熱い湯に長くつかることで体温が上がり、意識がぼんやりすることだ。長寿科学振興財団の健康長寿ネットは、急な温度変化で血圧が大きく変動し、失神や不整脈を起こす状態をヒートショックと呼び、持病のない人にも起こると説明している。
消費者庁の注意点には、温度計の見える化のほかに、次のような項目が並ぶ。
- 前もって脱衣所や浴室を暖めておく
- 入浴前に水分をとる
- 食後すぐ、飲酒後、薬を飲んだ後の入浴を避ける
- 同居者に一声かけてから入浴する
- 湯温や入浴時間を温度計やタイマーで確かめる
- 浴槽から急に立ち上がらない
湯温と時間の目安は、健康長寿ネットが湯温41度以下、つかる時間は10分以内としている。温湿度計で測れるのは室温までだが、「脱衣所を暖めてから入る」という一番目の項目を、気分ではなく数字で判断できるようになる。
居間と脱衣所に1台ずつ置く

温度差を知るには、比べる2か所に温湿度計が要る。居間には画面付きの機種、脱衣所や浴室には防水の機種という組み合わせが扱いやすい。
| 置く場所 | 機種 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 居間 | SwitchBot 温湿度計プラス | 3インチの画面で、家族が通りがかりに温度を見られる |
| 脱衣所 | SwitchBot 防水温湿度計 | 湯気や水はねがかかってもIP65で守られる |
| 浴室の中 | SwitchBot 防水温湿度計 | 入浴前の浴室の冷え込みを確かめる |
SwitchBot 温湿度計プラスは、公式の比較表で税込2,780円、データ記録は68日間とされている。居間に1台置けば、暖房をつけた部屋の温度がそのまま基準になる。
脱衣所の温湿度計は、床から1m前後の、体がさらされる高さに置く。洗濯機の上の棚や洗面台の横なら、服を脱ぐときに体が触れる空気に近い。窓の真下や換気扇の吹き出し口の前は、部屋全体より冷えた空気を測りやすいので避ける。
防水温湿度計は水しぶきに耐えるが、シャワーのお湯が直接当たると、その瞬間の湯の温度を拾ってしまう。浴室の入口近くの壁や棚など、湯が直接かからない場所にストラップで吊るすと、入る前の浴室の温度を測りやすい。
何℃を目安に通知を受けるか

脱衣所が何℃なら安全かを示す国の基準は見当たらない。参考になるのは英国の目安だ。英国保健安全庁とNHSは、冬の健康を守るため、居間や寝室など普段使う部屋を少なくとも18℃に暖めるよう勧めている。
英国の目安は、普段使う部屋の温度を保つ前提で書かれている。部屋ごとにエアコンやストーブをつける家では、居間が18℃を超えていても、暖房のない脱衣所は外の寒さに近づきやすい。英国の18℃を、日本では脱衣所の通知ラインとして借りると使いやすい。
SwitchBot 防水温湿度計は、温度、湿度、絶対湿度、露点温度、飽和水蒸気圧の5項目を条件にアラートを設定できる。たとえば「脱衣所の温度が18℃を下回ったら通知」と設定しておけば、入浴前にスマホを見るだけで暖めるかどうかを決められる。
防水温湿度計と温湿度計プラスはBluetoothで通信する。スマホが近くにあればアプリでデータを読み込めるが、離れた部屋や外出先から確認したり、通知を受け取ったりするにはハブを組み合わせる。
SwitchBot Hub 3は、各部屋に置いた温湿度計の値を本体の画面に表示できる。居間の棚に置けば、居間と脱衣所の温度を一つの画面で見比べられる。付属ケーブルに温湿度センサーを内蔵しているので、居間の温湿度計を兼ねることもできる。
公式ストアの価格は16,980円(2026年10月22日確認)。通知だけが目的なら、もっと安いハブでも足りる。Hub 3を選ぶ理由は、スマホを持たない家族でも、本体の画面で脱衣所の温度を見られる点にある。
測った後に脱衣所を暖める

通知が届いたら、入浴の前に脱衣所と浴室を暖める。健康長寿ネットは、浴室に入る前にシャワーのお湯を出しておき、湯気で浴室を暖める方法を紹介している。浴室暖房乾燥機がある家なら、入浴の少し前から暖房運転にしておく。
- 脱衣所の温度を確かめる。 アプリかHub 3の画面で、居間との差と18℃の目安を見る。
- 浴室にシャワーの湯を出す。 浴槽にお湯をはる前後に、壁や床を湯で温めると冷えが和らぐ。
- 脱衣所の暖房は、人がいるあいだに手で入れる。 入浴する人か家族が脱衣所にいて、着替えが終わったら切る。
- 家族に一声かける。 入浴時間が長いときに様子を見に行ってもらう。
「帰宅前に脱衣所のヒーターをスマートプラグでつけておけば楽」と考えがちだが、電気ストーブやヒーターをスマートプラグで遠隔操作することは、取扱説明書や技術基準の考え方で禁じられている。理由は暖房器具をスマートプラグにつながない理由を整理した記事で詳しく扱った。脱衣所の暖房は、人がそばにいるときに手で入れる。
離れて暮らす親の家に温湿度計を置く場合も、数字だけで安心しないほうがよい。通知を受けた家族が電話で「お風呂の前に脱衣所を暖めて」と伝えられれば、温湿度計は役に立つ。測る役と暖める役を、誰が担うかを先に決めておきたい。
置かなくてよい家、もう一台足したい家

家全体を暖める暖房がある家や、脱衣所と浴室に暖房設備があって毎回使っている家では、温湿度計を常設しなくてもよい。冬の初めに数日だけ置いて、居間との差が小さいことを確かめれば十分だ。
反対に、トイレも廊下も寒い家では、脱衣所だけを測っても安心できない。夜中のトイレで寒さを感じる家族がいるなら、トイレにもう1台置いて、同じ18℃の目安で通知を受ける。防水温湿度計は単4電池2本で約2年使えるとされているので、電源のない場所にも置きやすい。
温湿度計を選ぶ段階では、置く場所に画面が要るか、水がかかるかの2点で機種を分ける。脱衣所と浴室は防水温湿度計、居間は温湿度計プラス、家族が画面で見るならHub 3、という組み合わせにすれば、入浴前の確認は数秒で済む。





