夕食前、台所に立ったまま、リビングの照明とカーテンを別々に操作するのは小さいが確実な手間だ。
SwitchBotの機器が増えるほど、アプリを開いて部屋とデバイスを探し、操作画面を一台ずつ切り替える時間も積み重なる。
SwitchBotは2026年8月10日、アプリ内のAIアシスタント「kata」の提供を開始した。
文字や音声でやりたいことを伝え、複数の機器をまとめて動かしたり、自動化の設定を始めたりできる機能だ。
ただし、公式発表の利用条件にHub 3の必須購入は含まれていない。KATA AIはアプリ側の機能であり、Hub 3の購入は赤外線家電やMatter機器をまとめたいかどうかで別に決める必要がある。
家電の操作より、設定の入り口が変わる
SwitchBotの日本公式発表によると、KATA AIアシスタントはSwitchBotアプリのバージョン9.29/10.0以降で利用できる。
ホーム画面のKATAを開いて文字を入力するか、音声で話しかけると、対応するデバイスの操作、状態確認、シーンやオートメーションの作成、セットアップ情報、トラブルシューティングを会話形式で案内する。
たとえば「リビングの照明を消して、カーテンを閉めて、寝室のエアコンを24℃にして」と頼む形だ。
従来なら部屋を選び、照明・カーテン・エアコンの画面を順に開いていた操作を、目的から始められる。
製品のパッケージを撮影して、セットアップ方法や関連するサポート情報を探すこともできる。
一方で、公式発表は対応製品・機能・利用環境によって範囲が変わると明記している。
不具合を自動で検知して修復する機能でもない。
KATA AIが減らすのは、家電そのものの操作より、どの画面を開けばよいか探す時間だ。
SwitchBotアプリの既存機能やシーンを整理したい場合は、先にSwitchBotアプリの設定と自動化を確認すると、KATAへ頼む内容も決めやすい。
日本語で頼む前に、機器名と権限を整える
日本語の公式サポートは、日本語の音声認識と音声応答に対応すると案内している。
家族の共有デバイスも、必要な権限があればKATA AIから操作できる。
ここで先に見直したいのが、機器名だ。
「ライト」「エアコン」のような名前が複数の部屋にあると、頼みたい対象を人間にもAIにも特定しにくい。
「リビング照明」「寝室エアコン」「北側のカーテン」のように、部屋と機器が分かる名前へそろえると、音声で伝える条件が減る。
Android AuthorityがSwitchBotのFAQをもとに報じた内容では、同じ名前のデバイスが複数ある場合、KATA AIはそのまま操作せず確認を求める。
これは安全側の動きだが、家族が共有するアカウントでは、誰がどのデバイスを操作できるかも確認が必要だ。
自動化は作れても、安全確認は人に残る
KATA AIへ「平日の朝7時にカーテンを開けて」と伝え、自動化の作成を始めることもできる。
ただし、KATA AIが提案したトリガーと動作が、実際の家族の生活時間に合っているかは別の問題だ。
朝寝坊した家族がいる日、ペットが部屋にいる時間、冷暖房を動かす季節の境目など、設定画面に出てくる条件以外も人が確認しなければならない。
公式サポートでは、屋内カメラ、見守りカメラ、屋外カメラに関連するイベント確認は現時点で対応していない。
「昨夜、玄関付近で何が起きたか」をKATAに聞いてカメラの履歴を探す用途は、まだ任せられない。
また、海外のAndroid AuthorityとT3は、SwitchBotのFAQに基づき、利用回数が1日100回に制限されると報じている。
日本公式発表は「1日あたり一定の上限」としており、条件は変わる可能性もある。毎日の操作をすべてKATA AIへ集約するより、頻繁な定型動作は従来の自動化へ残し、KATAは設定を始める相談役として使うほうが家の運用を崩しにくい。
プライバシーも、同意画面だけで終わらせないほうがよい。KATA AIの公式プライバシーポリシーによると、入力したテキスト・音声・画像に加え、デバイス名、状態、操作指示などが第三者サービス提供者へ送信され、AIモデル・音声認識・画像処理に使われる。
元の入力情報は処理後に保存しないと説明する一方、生成された回答、画像処理結果、デバイス制御結果、関連サービス記録はクラウドへ保存される。
声紋は抽出・保存・利用しないとされているが、他人の顔や声、子どもの情報、家庭内の個人情報を許可なく入力してよいという意味ではない。
KATA AIのためにHub 3を買う必要はない
KATA AIはSwitchBotアプリの機能なので、すでに対応するSwitchBot機器を持っている家は、まずアプリの更新とKATAの表示を確認すればよい。
SwitchBotのハブ製品の公式サポートでは、ハブはBluetooth機器をネットワークへつなぎ、遠隔操作やシーン・オートメーション、外部サービスとの連携を可能にする機器と説明されている。
つまりHub 3の判断基準は、KATA AIが登場したことではない。
エアコンや照明などの赤外線家電をまとめたい、Matter機器を一つの構成で扱いたい、スマートフォンを持たない家族にもダイヤルやカスタムボタンを使ってもらいたい、といった別の目的があるかだ。
Hub 3の公式ページでは、2026年8月19日確認時の税込価格は16,980円だった。赤外線家電、Matter機器、表示、ダイヤル、カスタムボタン、ローカルコントロールを一台へ集める構成を確認できる。
その構成が必要な家だけ、KATA AIとは別の買い物として検討したい。
今日の5分で、試すか決める
まずSwitchBotアプリを更新し、ホーム画面にKATAが表示されるか確認する。
表示が不要なら、公式サポートの案内に従ってオフにできる。アプリv10.1以前はホーム画面右上の「…」からモジュール表示設定へ進み、v10.1以降は「プロフィール」→「設定」→「KATA AI Assistant」でオン・オフを切り替える。
試す場合は、同じ名前の機器を部屋名つきに直し、家族共有の権限を確認する。
最初の依頼は「リビングの照明を消す」「カーテンを閉める」のように、結果を目で確認しやすいものがよい。
施錠・解錠、在宅中の家族に影響する空調、外出先からの重要な操作は、返答だけで完了とせず、アプリや本体で実際の状態を見る。
個人情報や家庭内の映像を含む画像を送らない方針なら、KATAを表示しない選択で困らない。KATA AIは、使わない家にハードウェアを買わせる機能ではないからだ。
KATA AIを置く家、まだ増やさない家
SwitchBotの機器が複数あり、アプリのメニューを探す時間や自動化の組み立てに迷う家なら、KATA AIを低リスクな操作から試す意味がある。
日本語の音声で頼みたい家族がいる場合も、共有権限と機器名をそろえれば、操作の入口を合わせやすい。
一方、使っている機器が一台だけで、手動操作に困っていない家、外部サービスへ入力を送る機能を増やしたくない家は、KATAをオフにしても不便は増えない。
KATA AIの登場で変わるのは、スマートホームに必要なハードウェアの数ではなく、設定の始め方だ。
AIへ家の判断を丸ごと渡すのではなく、名前と権限を整え、確認できる操作から使う。その順番なら、アプリの更新を急いで買い物へつなげず、日本の家に合うかを自分で決められる。





