リビングのエアコンは外出先から動くのに、寝室の照明だけが操作に反応せず、帰宅してから壁スイッチを探す。 廊下に置いたセンサーも、ときどき「オフライン」になる。 こうなると、家電の数に合わせてハブを買い足したくなるが、原因が赤外線の壁なのか、Bluetoothの距離なのか、Matterを中継する役割なのかで必要な台数は変わる。
同じ2LDKでも、リビングに赤外線家電が集まる家は1台で済むことがある。 一方、テレビとエアコンが別室にあり、BLE機器を玄関から遠隔操作する家では、2台目を置いたほうが設定をやり直す時間を減らせる。
ハブの台数は、家電の数ではなく「どの信号を、どの部屋から、どこへ渡すか」で決める。
「ハブ」という名前を、四つの役割に分ける

スマートホームで「ハブ」と呼ばれる箱には、少なくとも役割の違う機能が入っている。 アプリから指示を出すコントローラー、メーカー独自の機器を共通規格へ渡すブリッジ、Thread meshと家庭内ネットワークをつなぐThreadボーダールーター、赤外線やBluetoothの電波を近くの機器へ届けるゲートウェイだ。
一台に複数の役割が入っている製品もあるが、役割が同じとは限らない。 Matter対応機器を操作するためのコントローラーがあっても、赤外線リモコンを壁の向こうへ送れるわけではない。 反対に、赤外線家電を操作できるブリッジが、Threadの中継役を持つとは限らない。
| 見ている役割 | 主な仕事 | 台数を左右する条件 |
|---|---|---|
| コントローラー | Matter機器を登録し、アプリや音声から操作する | 使うエコシステムとローカル操作の構成 |
| ブリッジ | 独自方式の機器をMatterなどへ渡す | 対応するメーカー機器と一つにまとめたい範囲 |
| Threadボーダールーター | Thread meshと家庭内IPネットワークをつなぐ | Thread機器の範囲、既存ハブの対応、認証情報の共有 |
| 赤外線・BLEゲートウェイ | 家電やセンサーの近くで電波を受け渡す | 壁、家具、階、直線距離、電源の場所 |
海外の独立記事でも、ハブは接続機器数だけでなく、対応プロトコルとエコシステム、設定のしやすさ、将来追加する機器まで合わせて評価されている。 Thread対応センサーをめぐるTechRadarの検証も、機器単体ではなくThreadボーダールーターを含む構成を確認しないと迷いやすい点を示している。
この四つを区別すると、「ハブをもう一台買う」前に、足りない役割だけを補える。 台数を先に決めると、すでに持っている機器と機能が重なりやすい。
1台で足りる家は、機器と操作側が同じ範囲にある

1台で始めやすいのは、操作したい機器が一つの部屋か、壁の少ない隣接空間に集まっている家だ。 テレビ台の近くに赤外線家電があり、BLE機器も同じフロアにあるなら、ハブを家の中央へ置くより、信号を届けたい機器の近くへ置いたほうがよい場合がある。
Wi-FiやMatter over Wi-Fiの機器だけを操作する構成なら、ハブの場所より家庭内ネットワークの安定性が先になる。 2階の機器がWi-Fiでつながるなら、1階と2階に同じハブを置いても通信が二重になるだけだ。 既存の操作側にThreadボーダールーターが含まれていれば、Thread機器のためだけに別のハブを増やす必要がないこともある。
1台で足りるかを確認するときは、家電の台数ではなく次の四点を紙に書く。
- 操作したい機器がどの部屋にあるか
- 赤外線、BLE、Wi-Fi、Threadのどれを使うか
- 外出先から操作する必要があるか
- すでにコントローラーやボーダールーターを持っているか
リビングとダイニングがつながった間取りでも、厚い壁や金属製の収納が間に入れば、同じ部屋のようには届かない。 反対に、廊下を挟んでも赤外線の向きが合い、距離と障害物を確認できれば、部屋数だけで2台と決める必要はない。
ハブのオンライン状態が不安定なときは、台数を増やす前にスマートホームWi-Fiが切れる家で先に直すことで2.4GHz接続、SSID、ルーターとの距離を確認したい。 Wi-Fiの問題をハブの台数で隠すと、追加した機器も同じ場所で切れる。
2台目は、赤外線の壁かBluetoothの距離で決まる

赤外線リモコンは、Wi-Fiのように壁を回り込まない。 リビングのハブから寝室のエアコンを操作したい場合、廊下へ向けても壁が一枚あれば届かないことがある。 SwitchBotの公式サポートも、赤外線は壁を通らず、別室・別階の機器を操作するなら部屋・階ごとにハブが必要だと説明している。
Bluetoothは赤外線のような完全な見通しだけで決まらないが、壁、家具、収納、床が距離を伸ばす。 SwitchBotのサポートは、BLE機器を遠隔操作する場合、障害物を考慮して直線で約5m以内を目安にしている。 これはすべてのBluetooth機器に共通する保証距離ではないが、購入前に「ハブから機器までの直線」を測る基準になる。
| 症状 | 先に見ること | 2台目を考える場面 |
|---|---|---|
| 同じ部屋のテレビだけ反応しない | ハブの向き、受光部の前の収納、家電の登録 | 向きを変えても見通しが作れない |
| 寝室のエアコンだけ動かない | 壁、ドア、廊下、ハブからの直線 | 寝室側に置き場所と電源がある |
| 廊下のBLE機器が遠隔操作できない | 直線距離、床・収納・水回りの壁 | 約5mの目安を超え、機器側へ近づけられない |
| 2階だけ不安定 | 階段、床材、機器の位置、Wi-Fiの状態 | 2階に独立した電源と置き場所がある |
2台目を買う前に、最初のハブを30cm動かすだけで解決することもある。 赤外線送信部をテレビやエアコンの受光部へ向け、扉付きの棚から出し、BLE機器との距離を縮める。 その変更で家族の動線や電源ケーブルが悪化するなら、別室・別階へ専用ハブを置く判断へ進む。
「1部屋1台」は分かりやすいが、赤外線の見通しやBLEの距離が取れる部屋まで一律に増設する基準ではない。 必要なのは、届かない機器がある場所へ信号の入口を移すことだ。
MatterとThreadは、ハブの台数と同じ数え方をしない

Matter対応機器を増やすときは、「Matterの操作側」と「Threadの通信を家庭内ネットワークへ渡す役割」を分けて考える。 Googleの公式案内では、Wi-Fiだけで通信するMatter機器にはWi-Fi経由のMatterを扱えるハブが必要で、Wi-FiとThreadの機器が混在する場合はThreadボーダールーター機能を持つハブが必要になる。 Appleのホームハブに関する案内でも、Matter機器とThread機器を扱うホームハブの対応条件が分けられている。
Threadボーダールーターは、Thread機器を一台ずつWi-Fiへ変換する中継器ではない。 Thread meshと家庭内のIPネットワークの境界をつなぐ役割で、Thread Groupはスマートスピーカーやテレビなどに機能が組み込まれ、家庭内に複数台あることも想定している。
複数台のボーダールーターがThreadの認証情報を共有すれば、同じmeshの到達性と冗長性を使える。 認証情報を共有しない構成でも、IPネットワーク上ではThread機器同士が見える場合があるが、メーカーやアプリの設定方法まで同じとは限らない。 Threadボーダールーターが2台あることと、Matterコントローラーを2台買うことは同じではない。
| 増やしたいもの | 先に確認する条件 | 台数の考え方 |
|---|---|---|
| Wi-Fi接続のMatter機器 | 既存のMatterコントローラー、家庭内LAN | 既存機器で足りれば追加しない |
| Thread接続のMatter機器 | Threadボーダールーター機能、Thread meshの範囲 | 既存の対応機器と認証情報を確認する |
| メーカー独自のBluetooth機器 | メーカーのブリッジ、遠隔操作の距離 | ブリッジの電波が届く場所へ置く |
| 赤外線家電 | 家電の受光部とハブの見通し | 部屋・階の境目で分ける |
Matterの初期設定でハブとアプリの順番が分からなくなった場合は、Matter対応機器のつなぎ方でQRコードを読む前の役割分けを確認するとよい。 ここで必要なハブが分かれば、Thread対応という表示だけで別の箱を買わずに済む。 Hub 3のディスプレイやMatterブリッジの機能まで確認したい場合は、SwitchBot Hub 3の機能解説で本体の役割を分けて読める。
日本の間取りでは、置き場所を先に決める

日本の家では、ハブを置ける場所と、信号を届けたい場所が一致しないことがある。 光回線のONUやルーターは玄関収納にあり、赤外線家電はリビングのテレビ台、BLE機器は洗面所という間取りもある。 家の中心に置けばよいと決めると、赤外線家電から遠くなったり、電源ケーブルが家族の通路を横切ったりする。
床に間取りを描き、次の順に印を付ける。
- 操作したい機器を部屋ごとに書く。
- 機器の通信方式を赤外線、BLE、Wi-Fi、Threadで分ける。
- 壁、収納、金属扉、階段、床を障害物として記す。
- ハブへ給電できるコンセントと、Wi-Fiが安定する場所を確認する。
- 1台目を置いて、届かない機器だけを残す。
- 残った場所へ2台目を置いたとき、家族の動線とケーブルが安全かを見る。
| 間取り・設置状況 | 1台目を置く候補 | 2台目を検討する境目 |
|---|---|---|
| リビングに家電が集中 | テレビ台の近くで受光部が見える場所 | 寝室や別階の赤外線家電を操作したい |
| 2LDKで廊下が長い | 対象機器に近く、棚に遮られない場所 | BLE機器が直線距離の目安を超える |
| 戸建ての1階・2階 | 通信方式の多い階、電源が確保できる場所 | 階をまたぐ赤外線、または2階だけ距離が不安定 |
| ONUが玄関収納、家電がリビング | ルーターの場所とハブの役割を分けて検討 | 同じ場所へ集約すると赤外線が届かない |
ハブを情報盤や金属製の収納の中へ押し込むと、Wi-FiやBLEの条件が悪くなることがある。 棚の中に置く場合も、電波だけでなく赤外線の出口がふさがれていないかを見る。 コンセントを増設するために延長ケーブルを長くするより、先に置き場所を30cmずらせないかを試すほうが安全だ。
SwitchBot ハブ3を追加する前に、3本の線を測る

SwitchBot ハブ3の日本公式ページは、赤外線家電、SwitchBotデバイス、Matterデバイスを一つの機器で扱える構成を案内している。 赤外線家電をリビングでまとめ、SwitchBotのBLE機器を外出先から操作し、Matter連携も使いたい家なら、複数の箱を個別に置くより役割をまとめやすい。
ただし、ハブ3はWi-Fiの電波を広げる中継器ではない。 寝室の赤外線家電が壁の向こうにある、洗面所のBLE機器が距離の目安を超えるという問題は、対応機能の多さだけでは解決しない。
購入前に測るのは、次の3本だ。
- ハブから赤外線家電の受光部まで、壁や扉を挟まず見えるか
- ハブからBLE機器まで、家具と床を含めた直線距離が収まるか
- ハブの電源と、家庭内ネットワークへつながるWi-Fiの場所が安定しているか
日本公式の商品ページでは、赤外線家電・Matterデバイス・SwitchBotデバイスへの対応範囲と、現在の本体構成を確認できる。商品名が似た旧モデルと混ぜず、現行ページで「SwitchBot ハブ3」のセット内容を照合してからカードへ進む。
このカードの導線はSwitchBot ハブ3の同一商品へそろえている。 赤外線家電を一部屋でまとめたい、SwitchBotのBLE機器を外から操作したい、Matter連携の入口も一台へ寄せたいという条件がそろう場合に候補になる。 Wi-Fiだけが弱い家、Threadボーダールーターだけが必要な家、別室の赤外線だけを解決したい家は、既存機器の移動や役割の確認を先に行う。
追加購入を止める境目を、家の図に残す

ハブを買い足すか迷ったら、次の三つを別々に判定する。
| 確認結果 | その場でできること | 追加購入の判断 |
|---|---|---|
| 同じ部屋で赤外線が届かない | 受光部の前から棚を外し、ハブの向きを変える | 見通しを作れない場合だけ別の場所へ置く |
| BLE機器が遠い | ハブを機器側へ30cmずつ動かし、電源と動線を見る | 距離と障害物が残るなら2台目を検討する |
| Matter/Threadの役割が足りない | 既存のコントローラーとボーダールーターの対応を確認する | 不足する役割だけを補う |
| Wi-Fiだけ不安定 | 2.4GHz設定、SSID、ルーターとの距離を確認する | ハブではなくネットワーク側を直す |
| すべての機器が同じ範囲で動く | 既存ハブの位置とケーブルを記録する | 機器が増えるまで買わない |
1台で足りる家は、機器数が少ない家とは限らない。 同じ部屋に赤外線家電が集まり、BLE機器も近く、Matterの操作側がすでにあるなら、複数の機器を一台の役割へまとめられる。
2台に分ける家も、豪邸だけではない。 廊下の壁、上下階、玄関収納とリビングの距離、家族の動線で信号の入口が分かれるなら、2台目を置いたほうが調整する場所が明確になる。
ハブの数は、購入履歴ではなく家の図へ書き込む。 「赤外線はリビング」「BLEは洗面所」「Threadは既存のボーダールーター」「Wi-Fiはルーター」と役割を分けて、届かない線だけを短くできたとき、必要な台数が見えてくる。





