賃貸住まいの防犯対策は制約が多い。穴を開けられない。ビスを打てない。大掛かりな配線工事もできない。退去時の原状回復が前提だからだ。
だが、犯罪統計は楽観を許さない。警察庁の2024年版「犯罪情勢」によれば、住宅侵入窃盗のうち約60%が集合住宅を対象としている。一人暮らしの留守宅を狙った空き巣は日中の在宅率が低い平日に集中し、施錠されていない窓や玄関からの侵入が全体の約45%を占める。
従来の防犯対策は「工事」が前提だった。錠前の交換、防犯カメラの配線、窓の二重ロック。賃貸では管理会社の許可が必要で、退去時には元に戻さなければならない。これがスマートセキュリティで一変した。
SwitchBotのロックシリーズ、見守りカメラ、開閉センサーはいずれも工事不要。粘着テープやマグネットで取り付け、取り外せば跡が残らない。この記事では、賃貸住宅で原状回復を前提にスマートセキュリティを構築する方法を解説する。

賃貸セキュリティの3つの柱
賃貸住宅のスマートセキュリティは、以下の3つのレイヤーで構成する。どれか1つだけでも効果はあるが、3つを組み合わせると防犯力が飛躍的に高まる。
| レイヤー | 目的 | 主なデバイス |
|---|---|---|
| 抑止 | 侵入を思いとどまらせる | スマートロック、ドアベルカメラ |
| 検知 | 侵入や異常を即座に知る | 開閉センサー、人感センサー、室内カメラ |
| 記録 | 証拠を残す | 防犯カメラ、録画ストレージ |
英国の内務省の研究(Home Office Research Study 292)によれば、防犯カメラが設置された住宅は空き巣の被害率が51%低い。さらに「セキュリティシステムが作動中」の表示がある住宅では、窃盗犯の90%以上が別のターゲットに移るというデータもある(University of North Carolina、2012年調査)。
スマートロック ― 玄関の第一防衛線

賃貸のスマートセキュリティで最初に導入すべきはスマートロックだ。理由は2つ。
1. 鍵の閉め忘れを防止する。 侵入窃盗の約45%は無施錠からの侵入だ(警察庁統計)。SwitchBotロックのオートロック機能を使えば、ドアを閉めた後に自動で施錠される。人間の「閉めたつもり」を機械で確実にカバーする。
2. 外出先から施錠状態を確認できる。 SwitchBotアプリで「今、鍵は閉まっているか」をリアルタイムで確認できる。不安になって家に引き返す必要がなくなる。
SwitchBot Lock Pro ― 賃貸の最適解
SwitchBot Lock Proは3Mの粘着テープで既存のサムターン(つまみ)に被せて取り付ける。工事不要で、取り外しても跡が残らない。電池式(CR123A×2本)で約9ヶ月駆動。
SwitchBot指紋認証パッドを組み合わせると、指紋・暗証番号・NFCカードで解錠できる。物理キーを持ち歩く必要がなくなり、鍵を紛失するリスクもゼロになる。


取り付けの注意点(賃貸特有)
- サムターンの形状を事前に確認する。 SwitchBot Lock Proは複数のアダプターが付属しており、国内の主要なサムターン形状に対応する。ただし特殊なディンプルキーのサムターンや、防犯サムターン(空転タイプ)には対応しないことがある。SwitchBot公式サイトの互換性チェッカーで事前に確認すべきだ。
- 粘着テープの貼り直しは1回まで。 3Mの粘着テープは強力だが、一度剥がして貼り直すと粘着力が落ちる。位置を決めてから一発で貼ること。
- 管理会社に通知しておく。 スマートロックの取り付けに許可が必要かは管理会社次第だ。穴を開けないため原則不要だが、事前に「粘着テープで取り付ける後付けスマートロックを使います」と一報入れておくとトラブルを防げる。
SwitchBot Lock Proの粘着テープは、ドライヤーの温風で30秒温めてからゆっくり剥がすときれいに取れる。それでも粘着剤が残る場合は、「シールはがし液」(100均で入手可能)で拭き取れば原状回復できる。
見守りカメラ ― 留守中の「目」

一人暮らしの賃貸で最も不安なのは「留守中に何が起きているか分からない」ことだ。見守りカメラを設置すれば、外出先からリアルタイムで室内を確認できる。
SwitchBot 見守りカメラ ― 置くだけで完了
SwitchBot見守りカメラはUSB電源で動作し、棚やテーブルに置くだけ。壁への取り付けは不要だ。1080pのフルHD画質、360度のパン(水平回転)と114度のチルト(垂直方向)で部屋全体をカバーする。
動体検知機能があり、人が映った瞬間にスマートフォンに通知が届く。通知をタップするとリアルタイムの映像を確認できる。双方向通話も可能で、侵入者に対して「カメラが作動しています」と警告することもできる。
映像はmicroSDカード(最大256GB)にローカル保存される。クラウド保存はSwitchBotクラウドプラン(月額280円)で利用可能だが、ローカル保存だけでも基本機能は全て使える。

カメラ設置のプライバシー配慮
室内カメラは自分の生活空間を常時撮影するデバイスだ。同居人やパートナーがいる場合は必ず事前に同意を得ること。一人暮らしの場合でも、来客時にはプライバシーモード(レンズが物理的に下を向いてカバーする)を有効にするのがマナーだ。
SwitchBot見守りカメラには「プライバシーモード」が搭載されており、アプリからワンタップでカメラのレンズを隠せる。物理的にレンズが遮蔽されるため、ソフトウェアのバグでうっかり録画される心配がない。
開閉センサーと人感センサー ― 侵入検知の要

カメラが「目」なら、センサーは「耳」だ。玄関ドアや窓が開いた瞬間を検知し、即座に通知を送る。カメラの映像を確認する前に「異常が起きた」と知ることができる。
SwitchBot 開閉センサー
SwitchBot開閉センサーは2つの小さなパーツ(センサー本体+マグネット)をドアの枠と扉に貼り付ける。ドアが開くとマグネットが離れ、アプリに通知が届く。
玄関ドアと窓(1階・低層階の場合)に設置するのが基本構成だ。1個あたり1,980円で、玄関+窓2箇所=約6,000円。侵入経路を網羅的にカバーできる。
SwitchBot 人感センサー
人感センサーは赤外線で人体の動きを検知する。玄関の内側に設置すれば、ドアが開かなくても(窓からの侵入など)人が室内に入った時点で反応する。
開閉センサーとの違いは、「ドアや窓の開閉」ではなく「人の存在」を検知すること。帰宅時にセンサーが反応して照明が自動点灯するなど、防犯以外にも活用できる。


工事不要の取り付け方法

賃貸スマートセキュリティの生命線は「原状回復可能な取り付け」だ。全デバイスの取り付け方法を確認する。
| デバイス | 取り付け方法 | 原状回復 |
|---|---|---|
| SwitchBot Lock Pro | 3M粘着テープ | ドライヤー+シール剥がし液 |
| SwitchBot 指紋認証パッド | 3M粘着テープ | 同上 |
| SwitchBot 見守りカメラ | 棚やテーブルに置くだけ | 何も残らない |
| SwitchBot 開閉センサー | 3M粘着テープ(小型) | ドライヤー+シール剥がし液 |
| SwitchBot 人感センサー | 3M粘着テープ or 棚置き | 同上 |
| SwitchBot ドアベル | 3M粘着テープ | 同上 |
金属ドアや化粧板の表面は、必ずアルコールで脱脂してから粘着テープを貼ること。油分やホコリが残っていると粘着力が落ち、重量のあるSwitchBot Lock Proが脱落する危険がある。貼り付け後24時間は操作を控え、粘着テープが十分に定着するのを待つ。
電源の確保
| デバイス | 電源 | 持続期間 |
|---|---|---|
| Lock Pro | CR123A×2 | 約9ヶ月 |
| 指紋認証パッド | CR123A×2 | 約2年 |
| 見守りカメラ | USB-C(常時給電) | 無制限 |
| 開閉センサー | CR2(内蔵) | 約3年 |
| 人感センサー | 単4×2 | 約3年 |
見守りカメラ以外は電池駆動で、配線工事は一切不要だ。見守りカメラはUSBケーブルでコンセントに接続する必要があるが、配線は露出のままでも問題ない。ケーブルモールを使えばすっきりまとまる。
SwitchBotで防犯を自動化する

セキュリティデバイスの真価は「自動化」にある。個々のデバイスを手動でチェックするのではなく、SwitchBot Hub 2またはHub 3を中核に据えた自動化で、留守中の防犯を完全に自動化する。
レシピ1: 外出モード(いってきます)
「アレクサ、いってきます」で以下を一括実行する。
- SwitchBot見守りカメラがプライバシーモードを解除(録画開始)
- SwitchBotプラグミニが不要な家電の電源をオフ
- SwitchBotシーリングライトがオフ
- 開閉センサーと人感センサーの通知を有効化
レシピ2: 侵入検知 → 即時アラート
外出モード中に開閉センサーまたは人感センサーが反応した場合:
- スマートフォンにプッシュ通知(SwitchBotアプリ)
- 見守りカメラが侵入検知の映像クリップを保存
- SwitchBotスマート電球が赤点滅(侵入者への威嚇)
- SwitchBotスピーカーから警告音(Echo経由でアナウンス再生も可能)
レシピ3: 帰宅モード(ただいま)
SwitchBot指紋認証パッドで解錠すると:
- シーリングライトが暖色80%で点灯
- 見守りカメラがプライバシーモードに(録画停止)
- 開閉センサーの通知が無効化(帰宅後の開閉は通知不要)
- エアコンが自動でオン(SwitchBot Hub経由の赤外線制御)
月額コスト比較 ― 警備会社 vs スマートセキュリティ

従来の選択肢は「何もしない」か「警備会社と契約する」の二択だった。スマートセキュリティは第三の選択肢として、低コストで一定の防犯効果を実現する。
| 項目 | SECOM(賃貸プラン) | ALSOK(賃貸プラン) | SwitchBotセキュリティ |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 約48,000円 | 約67,000円 | 約35,000円 |
| 月額 | 6,800円 | 6,870円 | 0円(クラウドなし) |
| 月額(クラウド利用) | 含む | 含む | 280円 |
| 年間コスト(初年度) | 129,600円 | 149,440円 | 約35,000円 |
| 年間コスト(2年目以降) | 81,600円 | 82,440円 | 0〜3,360円 |
| 駆けつけサービス | あり | あり | なし |
| 24時間監視 | あり | あり | 自分でアプリ確認 |
| 火災検知 | あり | あり | なし(別途煙感知器) |
| 契約期間 | 5年 | 5年 | なし |
SwitchBotセキュリティの最大の弱点は、異常を検知しても「人が来てくれない」ことだ。SECOMやALSOKは異常信号を受信すると警備員が現場に急行する。SwitchBotは自分でアプリを確認し、必要に応じて警察に通報する必要がある。「検知と記録」はSwitchBotで十分だが、「対処」は自分自身が行う必要がある。
とはいえ、年間コストの差は圧倒的だ。SECOMの5年契約では総額約45万円。SwitchBotなら初年度35,000円+2年目以降はほぼゼロ。5年間で約41万円の差がある。「駆けつけサービスなしでも、侵入検知と証拠の記録ができれば十分」と判断できるなら、SwitchBotセキュリティは合理的な選択だ。
近隣トラブルを避けるカメラ設置のマナー

賃貸マンションでカメラを設置する際は、近隣住民のプライバシーへの配慮が欠かせない。
共用廊下へのカメラ設置は要注意
玄関ドアの外側(共用廊下)にドアベルカメラを設置する場合、隣室の玄関や共用部が映り込むことがある。マンションの管理規約で共用部への設置が禁止されている場合もあるため、事前に管理会社に確認すること。
SwitchBotドアベルカメラの場合: 撮影範囲は水平146度と広角だが、「プライバシーゾーン」機能で特定のエリア(隣室の玄関など)をマスクできる。マスクされたエリアは録画されず、映像にも映らない。この設定をしたうえで管理会社に「自室玄関前のみを撮影し、隣室はマスクしている」と説明すればトラブルを避けられる。
室内カメラのカーテン越し問題
窓に向けて設置したカメラが、夜間にカーテン越しに外から光って見えることがある。これは盗撮の疑いをかけられる原因になり得る。室内カメラは窓から離れた位置に設置し、玄関方向を向けるのが安全だ。
共用部へのカメラ設置が難しい場合は、室内カメラを玄関の内側に設置する方法がある。SwitchBot見守りカメラを靴箱の上に置き、玄関ドア方向を向ける。ドアが開いた瞬間を室内から撮影できる。共用部は映らないためプライバシー問題をクリアしつつ、侵入者の記録は残せる。
よくある質問

Q1. 賃貸でスマートロックを付けて大丈夫?
原則として問題ない。SwitchBot Lock Proは粘着テープで取り付けるため、退去時に取り外せば原状回復できる。ただし管理会社や大家の方針によっては事前の通知が求められる場合がある。「穴を開けず、退去時に取り外します」と伝えれば、ほぼ全てのケースで了承を得られる。
錠前自体を交換するタイプのスマートロック(Qrio Lock、SADIOT LOCKの一部モデル)は賃貸では使えない。後付けタイプのSwitchBot Lock ProまたはLock Ultraを選ぶこと。
Q2. 停電時や電池切れでスマートロックが開かなくなるリスクは?
SwitchBot Lock Proは物理キーでの解錠に対応している。スマートロックが動作しなくても、従来通り鍵を使って解錠できる。電池残量はSwitchBotアプリで常時監視でき、残量20%で通知が届く。電池寿命は約9ヶ月で、電池交換は30秒で完了する。
Q3. カメラの映像はどこに保存される?
SwitchBot見守りカメラの映像保存先は2種類。microSDカード(最大256GB、カメラ本体に挿入)またはSwitchBotクラウド(月額280円)。microSDカードなら月額費用ゼロで約10日分の連続録画が可能。クラウド保存ならカメラが物理的に破壊されても映像は残る。
Q4. Wi-Fiが不安定だとセキュリティは機能しない?
SwitchBot Lock ProはBluetooth接続でも動作する。Wi-Fiが切断されても、Bluetooth圏内(約10m)からアプリで施錠・解錠できる。ただし外出先からの遠隔操作にはWi-Fi(SwitchBot Hub経由)が必要。開閉センサーと人感センサーはBLE通信のため、Wi-Fiが切れてもHub経由のログ記録以外は動作する。
重要なのはWi-Fiルーターの安定性だ。スマートセキュリティを導入するなら、信頼性の高いルーターと安定した回線が前提条件になる。
Q5. 火災検知はSwitchBotでできる?
SwitchBotには火災報知器の機能はない。日本の住宅用火災警報器の設置義務(消防法)を満たすには、市販の住宅用火災警報器(1個1,500-3,000円)を別途設置する必要がある。SwitchBotと連携したい場合は、SwitchBotボットを火災警報器の近くに設置し、警報音をSwitchBotアプリで検知する方法がある(ただし公式にサポートされた機能ではない)。
まとめ: 賃貸セキュリティの推奨構成
| 構成 | デバイス | 合計費用 |
|---|---|---|
| ミニマル(一人暮らし) | Lock Pro + 見守りカメラ | 約20,760円 |
| 標準(1LDK) | Lock Pro + 指紋認証パッド + 見守りカメラ + 開閉センサー×2 | 約30,700円 |
| フル(2LDK以上) | Lock Pro + 指紋認証パッド + 見守りカメラ×2 + 開閉センサー×3 + 人感センサー + Hub 2 | 約50,000円 |
一人暮らしのミニマル構成ならLock Proと見守りカメラの2点で約2万円。これだけで「オートロック」「外出先から施錠確認」「室内監視」「侵入検知通知」の基本機能が揃う。
SwitchBotの全製品ガイドはこちら。SwitchBot予算別おすすめセットはこちら。賃貸スマートホーム全般のガイドはこちら。SwitchBot自宅防犯ガイドはこちら。
参考文献
- 警察庁「令和6年の犯罪情勢」(2024年版)
- Home Office Research Study 292 "The effectiveness of CCTV: A review of the literature" (2005年)
- University of North Carolina at Charlotte "Understanding Decisions to Burglarize from the Offender's Perspective" (2012年)
- 総務省消防庁「住宅用火災警報器設置率の推移」(令和6年)


